キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第89回:映画『DUNE/デューン 砂の惑星』感想と考察

いやいや、ついにこの時が来たー!公開延期から約1年を経て公開となった待望の映画『DUNE/砂の惑星』を語ります。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の新作となると私にとっては有給休暇を取得するレベルの大事件なので、公開初日の朝イチで観てきましたよ。毎度のことながらややネタバレ注意です。

 

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イントロダクション

フランク・ハーバードの同名小説を原作としたSF映画。原作の映像化としては3度目となる古典的なコンテンツです。

舞台は人類が地球以外の惑星に移住して帝国を築く西暦1万190年。人間の健康維持に必要不可欠となっていた香辛料の採掘が出来る惑星アラキスを皇帝からの命令で統治する事になったアトレイデス一族。そこの当主の息子ポール(ティモシー・シャラメ)は、同じ夢を見る事に悩まされていた。夢に導かれるように自分の歩む道を自覚していくうらで、アトレイデス家と対立するハルコンネン家の陰謀が動き出していた。

監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。とにかく撮る作品良作ずくめですが近年はSF映画史に残るような作品を連発してます。今作も良いか悪いかは個人差として、SF映画史に爪痕を残す作品であることは確実でしょう。

そしてキャストがとにかく超豪華。ティモシー・シャラメ(2017年公開『君の名前で僕を呼んで』)を主演に、レベッカ・ファーガソン(今年公開の『レミニセンス』)、オスカー・アイザック(SWシリーズ)、ゼンデイヤ(2017年公開『グレイテストショーマン』)、ジェイソン・モモア(2018年公開『アクアマン』)等インディペンデントから大作映画を賑わす今旬な役者たちが大集結。さらにジョッシュ・ブローリン(2015年公開『ボーダーライン』)&デイブ・バウティスタ(2017年公開『ブレードランナー2049』)というヴィルヌーブ作品常連候補勢まで。いや〜キャスト発表のニュースを福岡県の豚骨ラーメンの店に並んでいる時に確認し、行列の中で一人バカみたいに歓喜した日からはや4年近く。あぁ懐かしいなぁー。

 

captaincinema.hatenablog.com

ドゥニ・ヴィルヌーヴについて以前こんな記事を書いてました。

 

極限レベルの映像美

本作公開前「全世界待望の映画体験(シネマエスクペリメント)」なる売り文句をやたらと見かけましたが、そんな強調する部分?って感じてました。おまけにダサいし…。しかし見終わってみると確かに「鑑賞」ではなく「体験」だったと感じました。

とにかく砂なんです、砂。観てない方からしたら何だよそれって話ですが、砂まみれになるんですよ。お肌の乾燥が心配になるレベル(流石に盛りすぎかw)で砂漠気分を味わう事が出来る没入感。正直これは映画館、特にIMAXのクリアでデカいスクリーンだからこそ出来る技だと思いました。

また現実離れした設定のSF映画なのに非常にリアリティーのある映像なのも好みでした。ギラギラしていない質素な色彩美、登場人物たちが身に付けている服装のエレガントさ、最新鋭過ぎず現代っぽさが残るガジェットの数々。戦闘シーンのほとんどがソードファイト(しかも登場するナイフや剣はどれも片刃の東洋的デザインで、特に主人公の一族が使用しているのは柄の部分がさながら日本刀)である事がそう感じさせる所以だったように思えます。

 

ヴィルヌーヴが描くテーマ

もう一つの観点としてヴィルヌーヴが描くべくして描いた作品だったと思った事があります。逆に今までの作品はデューンの為の布石だったのかもしてないと思わせるぐらいの周到ぶりだった印象です。

まず逃れる事の出来ない「運命」、もっと言うなら「宿命」について描かれるのがヴィルヌーヴのSF作品の特徴だと考察しています。今作でも主人公が見る夢はほぼ予知夢みたいなものなので、扱っているテーマは『メッセージ』(2016年公開)と似ています。また『ブレードランナー2049』(2017年公開)でも主人公が生まれながらにして背負わされた運命とその役割を全うしていくような内容でしたし。

また人間、殊更に男性は「暴力による争い」から逃れる事が出来ないといったニュアンスがあるのがヴィルヌーヴ作品の特徴でしょう。『ボーダーライン』(2015年公開)では果てのない暴力と復讐の連鎖が描かれていましたし、『プリズナーズ』(2013年公開)でも暴力によって一線を超えてしまう父親が描かれていました。本作においては直接的な戦闘シーンや武闘派な男性キャラが多数登場する事よりも闘牛に関する描写が所々に登場するのがネックだったのではないでしょうか。タイマンでケリを付けるって書くとガキっぽいですが、そうした戦って散る事が誇りという考えなのでしょう。だからこそラストは決闘シーン(ラストにしちゃ地味ですが)で締めくくっているのだと思いました。

 

まとめ

以上が私の見解です。

申し分のない満足な作品でしたが、あまり万人にはおススメしずらい初見殺しな部分はあったように思います。ストーリー自体はヴィルヌーブ作品の割には分かりやすいのですが、物語の世界を理解する上での用語が多過ぎる。聞きなれない名前の登場人物も結構多いです。私自身は84年のリンチ版を既に鑑賞済だったので何とも思いませんでしたが、そこら辺の前提知識がないと置いてけぼりにされるんじゃないかと思いました。

それと前編であったことや84年のリンチ版を観てストーリーを知っていたからもあってか『メッセージ』や『ブレードランナー2049』ほどのインパクトは無かったかな。なので後編が絶対に製作させることを強く求めます。いやもう一刻も早く作り始めて下さい。今すぐにでも観たいんじゃー!とわがままを言ったところでお開きです。ありがとうございました。

 

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↑獲得した入場者特典。デザインは良いんだけどこのサイズ感ちょっと飾りづらいのよ。