キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第81回:もう我慢ならん!怒れるパンピームービー特集

今週のお題「爆発」

というお題を発見。「爆発」と言えば真っ先に思い浮かぶのが「怒り」でした。そこで今回は、怒りと映画を絡めた話をしていきたいと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

 

 

「怒り」には定期的に発する場が必要

このご時世実態のないモヤモヤした「怒り」を抱えている人は多いのではないでしょうか。我慢続きの日常、相次ぐ胸糞悪いニュース、批判ばかりで提案の少ない社会、平等が幻で何でも「仕方ない」で片付けられがちな風潮…。一体何処に怒りの矛先を向けて良いのか分かりません。『うっせぇわ』のような歌が流行る所以(分かんないけど“うっせぇ!”って叫びたんだよw)も頷けます。何時からこんな時代になってしまったのでしょうね。

そんな「怒り」はどっかで定期的に発散させなければ、それこそ「爆発」をしてしまいます。爆発した怒りは人間を怪物に変える可能性だってあります。しかし、そう簡単にぶつける場所なんてありません。職場で発散すればパワハラになり兼ねないし家庭じゃ喧嘩の火種に。そもそも実態のない怒りを誰かにぶつけてスッキリするなんて独りよがりにも程があります。

そこで登場するのが「映画」です。映画の中には怒りを爆発させてしまった一般人を観ることが出来る作品があります。そんな人物たちに自分を重ね合わせて怒りを爆発させることも心の処方箋になると思うのです。

 

映画で描かれる一般人の「怒り」

そんな怒れるパンピームービーのエースだと思っているのが1976年公開のタクシードライバーカンヌ国際映画祭パルムドールを獲得している作品です。

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主人公のトラビス(ロバート・デ・ニーロ)は孤独な元海兵隊員。不眠症に悩まされていますが、それを逆手にとってタクシードライバーとして夜な夜な働いています。麻薬や暴力が渦巻く腐った街を雨が洗い流してくれと願い、得体の知れない不満や怒りは日記に書き殴る日々を送っています。

当時のベトナム帰還兵という社会問題がバックグラウンドにあるものの、鬱屈した日々を送る名も無き人という意味ではどこか現代的でもあります。だからこそ彼が起こす暴挙には賛同とまではいきませんが何だか筋が通っているようにも思えてきます。

その『タクシードライバー』の意志が伝播した作品が『ジョーカー』(2019年公開)でしょう。こちらはヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得してます。アメコミ人気キャラということもあって日本でも結構話題になりましたよね。

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↑先日行きましたDC展で展示されていた『ジョーカー』の撮影用衣装。

主人公のアーサー(ホアキン・フェニックス)は、ピエロに扮する大道芸人。母親の介護と自身の抱える心的障害と付き合いながら、コメディアンとして成功することを夢見ています。しかし生きずらい世の中やコメディアンを目指す自分を冷笑する奴らに怒り心頭。次第に狂気に取り憑かれていきます。

作中の「狂っているのは自分なのか?それとも世の中なのか?」というセリフが登場する通り、社会と個人のどっちが変なのかが分かりずらいのは今の日本も同じじゃないでしょうか。

で、個人的に好きなのは1993年公開のフォーリング・ダウン

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主人公はただの会社員、通称D-フェンス(マイケル・ダグラス)。渋滞に嫌気がさし車をほったらかして家族に電話を掛ける為の小銭を崩そうとコンビニを訪れる。そこで物価の上がったコーラと融通が利かない店員に出くわし、怒り爆発。抑えの効かなくなった怒りは街を揺るがす事件へと発展していきます。

物価ねぇ~、あるあるじゃないですか。日本の場合は、値段は据え置きで以前より内容量が少なくなっていることが多いと思いますが。このような些細なイライラが主人公の前に立ちふさがり怒りのボルテージを高めていきます(ボルテージが上がるごとに手持ちのアイテムが強力になっていくのもポイント)。特に私が好きなのはハンバーガーショップのシーン。店頭のイメージ図やサンプルはめちゃくちゃ美味しいそうなのに、いざ運ばれてきた実物はしょぼい。写真盛りすぎだろ!最近は減ったような気がしますが、ファミレスとか行くと“あれ?思ってたより野菜のってないな…”みたいな事でガッカリすることはあります。些細なイライラも積もれば山となる。主人公が怒りの鉄槌を下していく様は、はっきり言って観ていて気持ちが良いです。

ちなみに今年公開の作品だと『アオラレ』『プロミシング・ヤング・ウーマン』でも怒りの暴走が描かれていました。『タクシードライバー』や『フォーリング・ダウン』とは年代が変わっていも人々は様々な問題・障壁に対して怒りの声を挙げ続けています。

 

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まとめ

ここまで「怒り」をマイナスなニュアンスで語ってきましたが、時にポジティブなエネルギーにもなります。実際、怒りは嬉しい感情よりも人間のパワーを引き出すという実験結果もあるそうです。映画だと大傑作『マッド・マックス 怒りのデスロード』(2015年公開)やクズ過ぎるラガーマンに挑むサラリーマンを描いた『宮本から君へ』(2019年公開)なんか良い例でしょう。両作品とも主人公たちが怒っていたからあんな事が出来たんですよ。

結局はアンガーマネジメントという言葉もありますし、感情をキャラ化させた傑作ピクサー作品インサイドヘッド』(2015年公開)にもあったように上手に付き合うのが大事なんですね。さぁー怒れ!そして笑えー!

ということで段々意味わかんない事を書き出したのでこの辺でお開きです。ありがとうございました。