キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第209回:映画『ナポレオン』感想と考察 ※『ブラック・レイン』についても

今回は現在公開中の映画『ナポレオン』について語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

フランスの英雄として名高い皇帝 ナポレオン・ボナパルトの半生を描いた歴史大作。

18世紀末のフランスは革命によって大きな混乱に揺れていた。そんなフランスの若き軍人 ナポレオン(ホアキン・フェニックス)は天才的な統率力を発揮。各地で快進撃を繰り広げ、クーデターにも成功して皇帝にまで昇り詰めていく。しかしその一方、一目惚れで結婚をしたジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)とは、なかなか上手くいかず変にねじ曲がった関係が続いていた。

監督はリドリー・スコット。『エイリアン』(1979年公開)や『グラディエーター』(2000年公開)、直近では『最後の決闘裁判』(2021年公開)といった様々な作品を手掛けてきた巨匠。そんな中でもやっぱり見逃せないのが『ブレードランナー』(1982年公開)でしょう。なんでしょうね、あの唯一無二な世界観。決して凄く面白いわけではないんですけど一体何回再上映を観に行ったかな?底知れぬ魅力があるSF映画の金字塔です。

主演のホアキン・フェニックスは今や大スターとなりました。やっぱり『JOKER』(2019年公開)が大きかったのかな。『容疑者、ホアキン・フェニックス』(2010年公開)で一回消えたとは思えない活躍ぶりです。そういえば『ボーはおそれている』の日本公開が決まりましたね。楽しみです。そして本作のもう一人の主役といっていいのがヴァネッサ・カービー。「ミッションインポッシブル」シリーズにも出ていますし、お産のシーンが凄まじい『私というパズル』(2020年公開)なんて映画もありましたね。

「不可能」の文字はあった

ナポレオンと言えば「我が辞書に不可能という文字はない」ってのが名言として残ってますが、いや不可能な事あるじゃないすか。それが夫婦円満

婚約した時期から早々に仲が良いのか悪いのかよく分からない微妙な関係を続け、結局世継ぎ跡取り云々で離婚というか別居というか。浮気が分かれば戦線放棄もするわでなかなか無茶苦茶です。っていうかあの"マッマッ"と口をパクパクさせて奥さんに惚気るのは一体誰の思いつきだよwあれが史実って事もあるの?w高速ピストンといい場内の空気的に笑っていいのか迷いましたね。そもそもナポレオンさん自身がちょっとウジウジしたマザコン気質があるよに見えるんです。だから夫婦仲が変になるんじゃね?ジョゼフィーヌさんが奔放で肝っ玉ってのもあるんだろうけど。

この不可能な夫婦円満が後々のキャリアに響いたのか、次第に勢いを失っていくナポレオンさん。兵術の才があった事で人気となり皇帝にまで上り詰めたけれど、英雄というよりもそんなに強くない男というのが今作のナポレオン像でした。まぁこの強くない男ってのは割と監督作品では多いですよね。『悪の法則』(2013年公開)然り前述『最後の決闘裁判』然り”男より女の方がつえ~” みたいな路線が今作にもあった気がします。

まとめ

以上が私の見解です。

率直に言うと愛憎劇より戦闘のシーンがもっと観たかった。ワーテルローの戦いでのイギリスの方形陣とかアツかったです。『レッドクリフ』(2008年公開)思い出しちゃった。大砲もバカスカ撃ちまくるし数の暴力としか言いようがない人馬と贅沢過ぎる映像だけにそう思いました。でもあれだけ贅沢なのになんて言うさらっとした平熱感があったよね。愛憎劇パートだって割っとさらっとしてたし。あっそれはAppleTVで配信される4時間越えと噂のバージョンで濃くなるのか?AppleTVに加入する気はないけど、気になるなぁ。DVDとか出ないかなぁ。

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。

※ちなみに

一部映画ファンはお気付きでしょうが、実は現在リドリー・スコット監督作品がもう一つ映画館で流れているのです。それが午前10時の映画祭で上映している『ブラック・レイン』(1989年公開)。私『ナポレオン』を観に行く前にこちらを観て、一人勝手にリドスコ祭りをやっておりましたので、その話もさらっとしておきます。

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NYで逮捕したヤクザの頭(松田優作)を大阪へ護送。しかしなりすましの警官に引き渡すというミスを犯した事で異国の地で何としても逮捕しようとする刑事たち(マイケル・ダグラスアンディ・ガルシア)が描かれます。

ヤクザ映画的な任侠モノとハードボイルドなノワール映画を掛け合わせたような作品。そしてマイケル・ダグラス高倉健の日米バディ映画でもあります。バディっていうかブロマンスといっても良いかも。警察組織やお国柄違いを超えて築かれる絆に痺れます。

また、舞台である大阪がまさに『ブレードランナー』と化しています。本当は新宿歌舞伎町で撮りたかった的な裏話をどっかの雑誌で読んだ気もしますが、大阪でも充分な画になっています。道頓堀のごちゃついた感じも去ることながらあの阪急梅田駅のとこが良いですね。現在は名残があるだけになっちゃってますが、昭和モダンな感じが格好イイです。あと屋台でうどん食ってるシーンが「ブレラン」ですね。“2つで充分ですよ~” それ以外にもやたら麺を啜ってる場面が多かった印象。健さん、初登場シーンはそば食ってたし。飯食ってるシーンが残る映画は良作です。

リドリー・スコット作品の中で純粋な面白さで選ぶなら今作が一番かもしれないです。そういえば以前『ブレードランナー』の再上映を会社の同期と観に行って微妙な顔されたこと思い出したわ。こっちオススメすべきだったかねぇ~。