キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第56回:映画『ラーヤと龍の王国』感想と考察

今回は現在公開中の映画『ラーヤと龍の王国』について語りたいと思います。毎度のことながら、ネタバレ注意です。

 

 

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イントロダクション

今やエンターテインメント界の帝王といっても過言ではないディズニーの最新作。

舞台は龍に守られた王国。龍は邪悪な悪魔を戦った末に姿を消した状態であり、悪魔を封じる力が宿る龍の石が残るのみ。しかし石の能力を履き違えた人々の奪い合いの末、邪悪な悪魔が復活。崩壊した世界で、石の守護者一族の娘である主人公ラーヤは王国の平和を取り戻すため、姿を消した龍を探し旅に出る。

監督は『ベイマックス』(2014年公開)のドン・ホールと『ブラインドスポッティング』(2018年公開)のカルロス・ロペス・エストラーダ

っていうか上映館数が少ないですね。公開と同時にDisney+でも配信があるからでしょうか。上映館数が少ないせいかディズニー映画の割にはあまり世間で話題になっていないような気がします。私が観に行った回はそれなりに人が入ってましたが、ディズニー映画を観に行くと定番とも言える子供の姿がありませんでした。やっぱり映画館で大々的に宣伝して公開した方が話題になるんじゃないかと思います。

 

レベルの高い映像表現

私、ディズニー作品を観るのは結構久々。去年のピクサー作品『2分の1の魔法』を劇場で観て以来です。そのせいもあるんでしょうけど、映像美のクオリティーに唸ってしまいました。雨や川の水、砂や泥、草花、ドラゴンの毛並み。手で触れた感触が伝わってきそうなリアリティーです。特に時々登場するエスニックな感じのスープが凄い。油の輪っかといえば良いですかね。あの照り具合は観ていて腹が減りますよ。アニメを料理観て腹減るのは、あまりしない経験でした。

また、アクションシーンも驚くほどしっかりしていました。格闘シーンはリアリティーがありアクション映画好きでも満足出来るレベルだと思います。主人公のライバルとして登場するショートカットの王妃のファイティングポーズは、どしっりとした佇まいでなかなかイカしてました。

 

あの映画との共通点?

 本作観ながら頭によぎった映画がありました。それが2015年公開『マッド・マックス/怒りのデスロード』。

 

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はい、また出ましたw。本ブログで度々登場する映画史に燦然と輝く傑作。私にとってのオールタイムベスト映画です。作風だけ見ると全くベクトルの違う作品ですが、案外共通項はあったように思えたのです。

まず、裏切りや暴力の蔓延がトリガーとなって崩壊した社会という舞台設定が同じです。勿論ディズニー作品なのでファンタジックかつマイルドになっていますが、どの世代にも充分に伝わるようになっていると思います。

また主人公が、そんな世界に絶望し堅く閉ざした心を仲間との危険な旅を通して次第に開くというストーリーのフォーマットも同じに感じました。まぁ吊橋効果じゃないですが、誰かと試練を共にすることは閉ざした心にとって良いカンフル剤になるのかもしれません。

さらに、閉ざした心を開くキーワードが「他人を信じる」という点も同じな気がします。今作『ラーヤ~』において最重要課題である信じる心。“騙されたり攻撃されたりするリスクはあれど、まず相手を信じてみない限り何も始まらない。信じた先に希望がある。”そんなメッセージを感じることが出来る作品でした。

 

まとめ

以上が私の考察です。

あっ本編始まる前に流れた短編作品『あの頃をもう一度』についても触れておきましょう。始まった瞬間は“うわっ前座とかいらないわー”という気持ちだったのですが、おいふざけんな。不覚にも泣いちゃったじゃねーか!

セリフの一切のない作品で、ある老夫婦がミュージカル調で描かれています。『雨に唄えば』や『ララランド』へのオマージュが感じられる流れるような映像の先には“年を取るのも大事な人とだったら良いな”と思えるラストが待っていました。前菜として味わうには勿体無い上質な作品でした。

本編前から涙腺に訴えてくる禁じ手を行使するディズニー。配信優先(上映館数マジで少ないですね。ディズニー作品にしちゃ世間で話題になっていないのも納得です)やちょっとでも時代と錯誤するコンテンツは排除する体制は到底許せませんが、コンスタントに良作を生み出す点は認めます。ちくしょー!

それではこの辺でお開きです。ありがとうございました。