キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第188回:映画『君たちはどう生きるか』感想と考察

今回は現在公開中の映画『君たちはどう生きるか』を語っていこうと思います。これからご覧になる予定の方はどうぞお引き取りを。ネタバレなしで頑張ろうとは思いますがたぶん無理です。

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イントロダクション

千と千尋の神隠し』(2001年公開)や『もののけ姫』(1997年公開)を手掛けた巨匠 宮﨑駿監督が『風立ちぬ』(2013年公開)での引退宣言を撤回し10年ぶりの新作となったアニメーション作品。

いつもの如くあらすじを…とはいけないぜ!なんせ、宮﨑駿監督作品である事と上のポスター画像しか発表となっていないから。情報過多な社会を逆手に取った前代未聞の公開スタイル。公開後に主題歌&担当声優は発表となりましたが、迂闊な事を言うと大衆世論&スタジオジブリからの攻撃に遭い社会的に抹殺され兼ねませんからねw。

という訳でちょっと私事を。実は映画館でジブリ作品を観るのは初でした、めでたい!そもそもジブリや宮﨑作品をさほど観てないジブリ弱者であります。えっと、ナウシカラピュタ紅の豚?…観てねぇー。こういう事を口にすると“観てないとか本当に映画好きかよ”って言われたりしますが、そんな弾圧には激しく抵抗していきたい。ちなみに私が好きなジブリ作品は『かぐや姫の物語』(2013年公開)。なんなら子供頃一番観たジブリ作品って『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年公開)の可能性もあります。つまりは高畑勲派である可能性がおおいにある人間なんです。

そんな若輩者でもシークレットな公開スタイルはどう足掻いたって気になる。これは日々映画を観ては感想を吐き散らかしている私のような人間に対する宮崎駿からの夏休みの宿題、いや喧嘩のふっかけでしょう。売られた喧嘩は買ってやる所存、いざ!

君たちはどう観るか?

さて、私が本作に臨んだスタンスを表明したところで本論。

まぁこれは言っちゃって良いよね。タイトルの『君たちはどう生きるか』は少し前に漫画化した事で一時話題になった吉野源三郎の書籍。私も漫画化が話題となったタイミングに読んで以来、改めてざっと読み直しましたが、戦前に書かれた事に驚くほどの普遍性と人間の真理全てが詰まったような作品。名著と言われるのも納得です。その名作のアニメーション化だろうと思うじゃないですか。いや違うんですよ。ストーリーはおろかテーマに関してもリンクしているように見受けられません。ではなぜこのタイトルなのか?それは作品中盤に主人公が本書を読むシーンがあるからでした。このシーンがある種の起爆剤となっており物語後半に結び付く転換点となっているのですが、これだけでタイトルにするって「宮﨑駿」というブランドがあるから許される行為だなと。

そんな本作においてのテーマは、生と死や家族、戦争についてでしょうか?辛い事や残酷な事も多いけど、若者には平和で穏やかな世界を築いて欲しいというニュアンスも感じました。はいはい、分かりました。つまり言いたい事が沢山あるという。でも要素を詰め込む事に比重が置かれてストーリーがとっ散らかっているように見えました。いや、散らかっているというよりストーリーが弱いのかな。この要素が詰め込まれまくっている点で言えば現在公開中の映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』も同様ですが、こちらは軸がしっかりした強度のあるストーリーだと思ったので素晴らしいと感じました。

そんな弱さを感じたのは他にも。私の拙い見識で観たからかもしれませんが“宮﨑作品のスペクタクルってこんなもんだっけ?”と思いました。序盤は結構"おぉ!"って感覚があったんです。火災のシーンの映像表現は素晴らしかったですし、時折感じさせる違和感や気持ち悪さも上手だと(よく考えるとお父さん、なかなかヤバいよね)。しかし終盤に行くに従ってトーンが平熱に。走るシーンや階段を駆け上がるシーンも相変わらず登場しますが『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年公開)や『となりのトトロ』(1988年公開)の時の方が躍動感に溢れていた気がしました。

まとめ

以上が私の見解です。

クサすつもりはなかったのに説教臭いタイトルに説教で応戦するみたいな大人げない内容になりました。良くないねぇ、まぁ色んな解釈の余地があるでしょうから。

上映終了後の場内からは、つまらなくはないけどモヤっとするな感想と同時に誰がどのキャラの声を担当していたかの会話がよく聞こえてきました。某“麦わら帽子の君が”なシンガーソングライターや某“ちょ待てよ”スター等。個人的には某独特過ぎる話法を駆使するファッションモデルに驚きました。声優やれるんですね、ってかどのキャラだ?

また全体的にクロード・モネのようなタッチの作画が多い印象を受けました。とあるシーンではルネ・マグリットの作品も頭を過りましたね。恐らくジブリ、宮﨑ガチ勢からするとあのシーンはあの作品のセルフオマージュだって話になるんでしょうけど、それも含めて様々な絵画からインスピレーションを受けているのは間違いない気がします。巨匠たる所以ってそういう事だよな。もっと知識があれば…あぁ最近美術館行ってねぇな、久々に行くか。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。