キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第162回:映画『荒野の千鳥足』感想と考察

今回は旧作を語っていきます。実は私ビールが好きでして。大手飲料メーカーで販売しているのも去ることながら、各地のクラフトビールや輸入物の海外ビールを色々飲み比べるのが好きなんです。そのせいか最近太りつつあるというのは置いといて。

そんなビールが印象深く登場する映画は『ブルー・ベルベット』(1986年公開)ぐらいしか思い当たらなかったところ、つい先日劇場で観た『イニシェリン島の精霊』が割とビール映画だったんですよね。それならば他にもビールが印象深い映画は何かないかと調べてみると、ヒットしたのがこの『荒野の千鳥足』でした。千鳥足…吞兵衛ちゃんのお話しであることは一目瞭然ですが、原題は「WAKE IN FRIGHT」。飛び起きるみたいな意味かと思いますけど、それを「荒野の千鳥足」ってインパクト大な邦題付けましたね。という感じでいつも通りややネタバレ注意です。

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↑ポスター画像、破壊力あるな

イントロダクション

1971年に製作されその年のカンヌ国際映画祭で上映されたオーストラリア映画。しかしその後ネガ・プリントが行方不明になるも2004年に発見され、2009年に上映されたという紆余曲折のあった作品。日本での公開は2014年になるんだそうです。

シドニーから田舎町に単身赴任中の教師 ジョン・グラント(ゲイリー・ボンド)はクリスマス休暇をシドニーで過ごすための帰路、とある町で一泊することになる。そこの住民たちから異様な程のおもてなしを受けてビールを大量に飲んだジョンは、ギャンブルやカンガルー狩りに魅了されそのまま町に居続けてしまう。

監督はテッド・コッチェフシルベスター・スタローンの代表作の一つである『ランボー』(1982年公開)を撮った監督です。そうですよ、「ランボー」も邦題なんですよね。原題は「First Blood」でしたか。時々良いセンスの邦題ってありますね。ちなみに私が「ランボー」のシリーズで一番好きなのは『ランボー/最後の戦場』(2008年公開)。とにかくラストが凄まじ過ぎる戦争暴力映画。ここ数年においても稀にみる壮絶さだったと思います。そしてランボーさん、『怒りのアフガン』(1988年公開)の時のようにもう一度某国を懲らしめる必要がありますよ。

酒は飲んでも飲まれるな

まさにこれです。つい飲み過ぎちゃうという方々にお灸を据えるであろう一本。アルコールの魔力でキャンブルに不貞行為、暴力に魅了され自我を失い墜落していく主人公。クラクラするような映像も相まって、こっちまで酒を飲んだ後ような感覚に苛まれます。つい先日も酒を飲むと豹変するなんて人が妻を殴り殺してしまったなんてニュースもありましたが、泥酔は魔が差したでは後戻りの出来ない地獄への入り口かもしれません。お酒は適度に嗜むのが一番。

そもそも舞台となる街自体がビールに溺れているかのような有様。主人公の出会うおっさん、どいつもこいつも“とりあえずビール奢らせろ”と迫ってきます。断ろうものなら“俺の奢りを断るとはてめぇ何様だ!”と機嫌を悪く始末。一体あの文化は何なんでしょう?フィクションなのかそれともオーストラリアで実際みる光景なのか。最近ネット上では、デートにおける奢る/奢られるについてが話題になっているようですが、ここまでの奢るハラスメントを見るとどうでも良くなると思います。

カンガルー狩り

そんな酒以上にぶっ飛んでいたのがカンガルー狩りのシーンです。主人公はバーで知り合った割と金持ってそうなおっさんとその仲間たちと共にカンガルーを狩りへ車の走らせます。まずこの車で砂漠を暴走しているシーンが圧巻。オーストラリア映画ということでやっぱり頭に過るのは『マッドマックス』ですが、あれは1979年の作品なので本作の方が先なんですよね。ちょっとオーストラリア映画、カーアクションのポテンシャル高過ぎるよ。

そして問題の狩りのシーン。動物愛護団体が悲鳴を上げるであろう野蛮さ際立つカンガルー対する暴力の数々。これマズくないか?と思っていたらエンドクレジット前に実際ハンターの人たちによる狩りの映像であり、政府機関からの了承も得て撮影しているとの文面が表示されます。そりゃそうか、ただガチな狩りの映像なわけですかね。もはや衝撃映像です。

まとめ

以上が私の見解です。

酔っ払らったおっさんと砂埃まみれでむさ苦しさを感じられるヘンテコ映画。このむさ苦しさ、冬に観るにはピッタリかもしれません。画面から伝わるあのじっとりとした暑さは体温を上げます。

ちなみに鑑賞後に早速オーストリアのビール VR(ヴィクトリア ビター)を購入しました。恐らく作中で主人公たちが飲んでいる銘柄に含まれているでしょう。果たしてどんな味か、私も魅了をされて墜落してしまうのか。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。