キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第19回:早い!安い?美味い!100分以内で楽しめる映画を紹介

ここ最近、尺の短い映画とめぐり逢う機会が多かったので、“そうえいばあの作品も短ったなぁ”という作品を思い付きで紹介します。もしご覧になる場合は、上映時間の「早さ」と作品の「美味さ」は保証しますが、「安さ」は選択する媒体次第なので自己責任でお願いします。

 

・500日のサマー(2009年公開・上映時間:97分)

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最近見た作品1本目。運命の出会いを信じるロマンス主義者の男(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)と信じない現実的な女(ゾーイ・デシャネル)が、ニューヨークを舞台に繰り広げるラブコメ作品。

男の方の視点から出会った1日目から500日目までのエビソードが順不同に語られていく構図でストーリーが展開していきます。幸せだった頃のエピソードから急に険悪なムードのエピソードに切り替わるなど、上映時間は短いながらも感情が忙しい作品になってます。

そして今作の魅力は何と言っても、ゾーイ・デシャネル演じるサマーの自然体な小悪魔っぷり。サマーの純粋で飾り気のない雰囲気は可愛げがあり、主人公が一目惚れしてしまう気持ちも分かります。しかし彼女自身は、恋人関係に縛られることが嫌だという価値観を持っているため、付き合い始めても「友達以上、恋人未満」のような態度を取り続けるのです。あーもどかしい。見ているこっちも翻弄されてしまいます。

 

レディ・バード(2017年公開・上映時間:95分)

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最近見た作品2本目。カリフォルニアの片田舎に住む都会を夢見る女子高生(シアーシャ・ローナン)。彼女が様々な悩みを経験しながら成長していく青春映画。

 やはりどこの国でも、都会に憧れて地元をクソみたいに言う人はいるんですね。私は東京生まれ東京育ちなので、分かるような分からないような…。あっ、こういうこと言うとすぐ冷たい眼差しを向けられてしまいます。しかし自己紹介の時、出身が東京というだけで「うわっシティーボーイかよ」とか「調子乗ってんな」と軽蔑とも取れる態度は勘弁して欲しいものです。たまたま親が東京に住んでただけであって、私の責任ではありません。それに都会は都会になりに大変なことがあるんですよ。都会に住む学生の葛藤みたいな映画があったらいいのになぁー。

おっと、話がそれました。そうした悩みの他にも、恋愛や親との関係などをコミカル且つテンポ良く描かいています。特にお母さんとのやり取りは良かったですね。お互い我が強つ自分の性格を曲げないところがあるので、一旦喧嘩になるとなかなか収集が付かない自体に。でも本当はお互いに思い合っているんですよ。それがラストの電話での会話から感じ取れました。

 

・ムーンライズキングダム(2012年公開・上映時間:95分)

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最近見た作品3本目。一目惚れし合った少年少女が駆け落ちを決意。そのことをきっかけに、大人たちが、てんやわんやするファンタジックコメディー。

出会って間もない人と「結婚する!」と言って、家出するなんて何ともませたガキんちょですが、彼らのやり取りを見ていると心が和みます。また、 色彩や構図、アイテムなどが織りなす独創的な世界観は、他の作品では見ることの出来ない雰囲気。ゆるーくまったりとした時間を過ごしたい方におすすめです。

それとですね。この映画、かなりキャストが豪華。『ダイ・ハード』シリーズのブルース・ウィリス。『ゴースト・バスターズ』や『ロストイントランスレーション』のビル・マーレイなどが出演しています。特に驚きだったのが、駆け落ち少年をやたら敵視する少年を『マンチェスター・バイザシー』や上記の『レディ・バード』など、ここ最近とにかく引っ張りだこなルーカス・ヘッジズが演じていたことですね。今じゃ演技派イケメンですけど、この時は役柄もあってか絶妙に腹の立つ顔をしてます。

 

・96時間(2008年公開・上映時間:93分)

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「96」ってタイトルに付いてるなら96分にしたら良かったのにと思うところですが、これは邦題です。原題は「TAKEN」。日本語にすると「誘拐」になります。ストーリーはその名の通りとなっています。ヨーロッパに旅行に行った娘がイタリアで何者かに誘拐されてしまいます。そのことを知ったお父さん(リーアム・ニーソン)が、CIAの工作員だった経験を駆使して救い出そうとするアクション映画。

様々なところに赴き「俺の娘はどこだ!」と敵をテンポ良くボコしていきます。ストーリーもシンプルなので、スカッとするにはお手頃な作品です。

このリーアムお父さん。図体のデカさを活かした格闘スキルで向かうところ敵なし状態。ノックアウトした相手から銃を奪い、無駄撃ちをしない正確な射撃で仕留めていきます。こんな腕っぷしの強いパパは格好良いですけど、娘さんの結婚相手はさぞかし苦労することでしょうね。

 

静かなる叫び(2009年公開・上映時間:77分)

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先日カナダで無差別銃撃事件がありました。コロナで陰鬱になった日々に拍車をかけるような気がしてなりません。

www.asahi.com

そんなカナダで過去に起きた銃乱射事件として上の記事でも触れられているモントリオール理工科大学虐殺事件。この14人が死亡した痛ましい事件を基に作られた作品です。

緊迫の事件シーンや事件後の生還者たちの苦悩なども見所ですが、本作で注目すべきは犯行動機ではないかと思います。

犯人は反フェミニズムの思想を掲げていました。そのため女子学生ばかりを狙って犯行を行い、結果として死亡者の全てが女性となったのです。しかし、本当に動機はそれだけだったのでしょうか?そう感じる理由にあるのが、作品全体のトーンです。本作はモノクロとなっており、どこか寂し気です。色ない世界は、大学生活という青春とは相反する世界を表現しているように感じられます。よって、反フェミニズムは犯行動機の一部に過ぎず、孤独からくる閉塞感こそが真の動機だったのではないかと思わされるのです。

77分とは到底思えない濃密さは、流石ドゥニ・ヴィルヌーブ監督です。サクッと重厚な作品を味わたい人におススメです。

 

・スーパー!(2010年公開・上映時間:96分)

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愛する奥さんをドラックのバイヤーに取られた冴えないおっさん(レイン・ウィルソン)が、お手製コスチュームに身を包みヒーローになろうとするアクションコメディー。

『キックアス』好きにはおススメの作品ですが、こちらはミニマムというか、フジテレビでやっている番組『スカッとジャパン』の過激版みたいなスタイルです。例えば行列に割り込んだ男との対峙シーン。まず「割り込みは良くないよ」と言葉で注意をします。しかし、変なスーツを着たおっさんの言う事なんて聞く耳を持ってもらえるわけありません。するとおっさん。退散したかと思ったら、レンチを持って再び登場。横入りした男を殴りつけます。世間を賑わせている自粛警察もびっくりな手口。「シャラップ、クライム!」のキメ台詞もダサ格好いい愛すべきおじさんヒーローです。

そういえば『キックアス』も2010年公開だったので、この頃のアメリカは自警団ブームだったのかもしれませんね。

 

・ライト/オフ(2016年公開・上映時間:81分)

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「何か」に恐怖する弟を守ろうとするお姉さんの奮闘を中心に描いたホラー映画です。今作の何が面白いって、この悪魔というかお化け的な女にある法則です。それは、電気を消すと現れ、電気を付けると消えるというルール。子供の頃「電気を消すとお化けが出る」なんて聞くと夜寝れなくなったこともあったと思います。大人でも暗闇に対して不安や恐怖を感じる人は少なくないはずです。そんな古典的とも呼べるルールを深掘たホラー演出で楽しませてくれる作品となっています。この発想はあるようでなかった新鮮味を感じましたね。

 あとですね、個人的プッシュしたいのがヒロイン。オーストラリア出身のテリ―サ・パーマという女優さんなんですが、まぁー典型的な金髪美女。2013年公開の『ウォーム・ボディーズ』というゾンビもののラブコメでも魅力的な女性を演じてましたね。あのルックスで子供が3人いるなんて同じ人間だとは思えませんな。気になる方は画像検索して下さいね。

 

・ポテチ(2012年公開・上映時間:68分)

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私の大好きな作家、伊坂幸太郎の同名短編小説を映画化した作品です。空き巣を生業とする男(濱田岳)と地元のプロ野球選手(安部亮平)の奇妙な関係を描いたヒューマンドラマ。

小説や漫画の映画化は、実は危ない橋だと個人的には思います。既に人気のあるコンテンツは客足が取れるという意味では安パイです。しかし、作品として失敗すればその原作好きたちとの溝を生み兼ねないのです。そんな伊坂幸太郎作品の良さは、ユーモアのある会話と魅了あるキャラクターたち。これが忠実に描かれているので、原作好きとしては大満足です。今作の監督を取った中村義洋は、『ゴールデンスランバー』や『アヒルと鴨のコインロッカー』の映画化も手掛けているので、当然っちゃ当然なんですけどね。さらに、伊坂幸太郎作品の映画化の象徴的存在とも言える濱田岳は安定感抜群。濱田岳にしかないあの独特な雰囲気が伊坂作品と相性が良いと思います。

また、伊坂作品は仙台を舞台にした作品が多く本作もその一つ。東日本大震災からの復興応援も兼ねたプロジェクトだったので、全編仙台でロケが行われたのです。ここもポイント高いですね。伊坂作品と東北への愛を感じる一本でした。

 

・ピーナッツバターファルコン(2019年公開・上映時間:97分)

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最後に紹介するのは、つい最近まで映画館で上映されていた作品です。

主人公の自閉症を持った青年の夢はプロレスラーになること。好きなレスラーのビデオを何度も見て、研究を重ねる日々。しかし、それだけじゃ物足りない。ある時そのレスラーが運営しているという教室を目指して施設を脱走。たまたま出会った漁師の男(シャイア・ラブーフ)と共に、夢への道を歩んでいくロードムービーです。

って言うか、そもそも私ロードムービー系には弱いんです。大事なものを得たり、何かに気付いかされて成長するといったことを、目的にたどり着くまでの仮定で、豊かで時に残酷な自然や人々を通して紡いでいくのがロードムービーの真髄。今作もそれがしっかり描かれているので、嫌いなわけないのです。

実際に自閉症を持った人を主人公としてキャスティングしているあたりも興味深いですし、最後のエンドクレジットで流れる曲にも胸を打たれます。

 

まとめ

はい、ということで100分以内で楽しめる作品をジャンル問わず紹介してきました。ええっとー、シメが思い付きません。まぁ短いけど面白い映画見つけてみてはいかがでしょうか。

ということで、ここら辺でお開きです。ありがとうございました。