キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第22回:映画で学ぼう Part2 人種差別について

今回も映画をソースに社会問題を考えてみます。タイトルにある「人種差別」を見れば扱うテーマはなんとなく予想はつくはずですね。

 

www3.nhk.or.jp

はい。こちら非常に深刻な事態になっています。

ここまで暴力的なった背景には「アンティファ」と呼ばれる暴力を辞さない極左勢力が関係していることもあるそうですが、やはりコロナの影響が強いと私は思います。コロナウイルス感染拡大の影響によって、様々なことが自粛・中止となり、経済的困窮者が増加している傾向が全世界で見られます。アメリカでは失業保険の申請が4000万件を超えるなど経済的混乱が明白な状態です。そんな社会に対する不安や憤りに油を注ぐ形になったのが今回の事件だと思ってます。日本で言えば、検察庁法改正案への批判がSNSで爆発し「Twitterデモ」と呼ばれた現象が同じように該当するでしょう。日本はSNS上だけでしたが、アメリカではそう簡単に収まる問題ではないことは、多くの映画からも読み取ることが出来ます。

人種差別、特に黒人差別を扱った作品はかなりの本数あります。(個人的には2017年公開『ゲットアウト』がオススメ)また、黒人差別意外にもインディアンと呼ばれるようなネイティブアメリカンに対する差別を描いた作品もあったりします。(例えば2016年公開『ウインドリバー』など)

まぁ思い付くだけでもかなりの作品数があるテーマなので、今回はそんな中で直接関連のありそうな2作品と、人種差別のない理想郷的作品を1つ紹介してみます。毎度の事ながら、ネタバレ注意です。

 

白人警官による黒人への不当な暴力は今に始まった話じゃない

 

『フルートベール駅で』(2013年公開)

f:id:captaincinema:20200603234403j:image

2009年の元日、サンフランシスコのフルートベール駅で、黒人青年が白人警官に銃殺された事件を基にした作品。本作はこの銃殺される青年の最後の一日を描いています。母親の誕生日を祝ったり、娘の面倒を見たりと、家族に対して優しい青年であったことが丁寧に描かれていきます。

そして問題の事件のシーンへ。事の発端は、電車内での喧嘩。青年は過去に服役経験あり、そこで顔見知りだった奴に絡まれたのが原因でした。喧嘩を止めるべく駆けつけた警官。緊迫したやり取りの最中、悲劇が起きるのです。

ここで引っかかることが一つあります。この銃の引き金を引いてしまった警官は、本作を見る限り黒人差別主義者ではないんじゃないかと思います。ただ単にビビっただけだったように見えるのです。もし仮に、今回の事件も警官がビビってやってしまったのだとしたら、差別の問題とは別に警察官の資質や教育体制の問題が浮上すると思います。

あとですね。個人的にプッシュしたいのが主人公を演じたマイケル・B・ジョーダンという俳優。バスケットボール選手じゃないですよ。ボクシング映画の名作『ロッキー』を新たなステージへと生まれ変わらせた『クリード』シリーズやMARVEL作品『ブラックパンサー』で悪役を演じたりしてます。で、この俳優がマジでイケメン。いい感じの細マッチョってこともあって男の私でもセクシーだと感じます。こんなカッコいい奴がいる人種をどうして差別するのか理解出来ませんな。

 

デトロイト』(2017年公開)

f:id:captaincinema:20200603234411j:image

1967年にデトロイトで発生した暴動と、そんな中で発生した白人警官による不当な尋問と殺人を基にした作品です。

序盤はドキュメンタリーのような没入感のある暴動の様子が群像劇タッチで描かれます。とてもリアリティーがあり、その場に居合わせたような気分を感じます。

そして中盤、発砲騒ぎをきっかけで始まった白人警官による30分以上はあるだろう尋問もシーンに入ります。こちらに登場するデトロイトの地元警官は、何処からどう見ても黒人差別主義者。怯えて逃げる黒人に対して平気で銃を発砲。尋問の時には殴る蹴るは当たり前。デモ鎮圧の援軍で来た州兵も呆れるレベルです。特に私が驚いたのは、射殺をした後の処理。彼らはナイフを所持しています。そのナイフは、刺すために使うのではありません。無闇に射殺をした相手の脇に落としておき、さもナイフで襲ってきたのでやむなく撃ったという証拠の捏造をするために使うのです。こんな事をやる人達が、治安を守る職に就いてるなんて考えると、生きた心地がしませんね。

そして終盤。2名の死者を出したこの事件の捜査が始まりますが、ここでも黒人差別が壁となり、真相が撹乱されていきます。差別の問題は根深く果てしないと思わせる結末は、是非ご覧になってヒリヒリと感じて下さい。

 

みんなちがって、みんないい

 

『グレイティスト・ショーマン』(2017年公開)

f:id:captaincinema:20200603234601j:image

実在した興行師P.Tバーナムの半生に基づいたミュージカル作品。日本でもだいぶ話題になりました。そういえばテレビを見ていると、やたら「THE GREATEST SHOW」を聞くことがあります。“テレビ局の人たちはどんだけこの曲好きなんだよ”と思ってしまうのは気のせいでしょうか。

本作は歌やダンスシーンが散りばめられた王道ミュージカル映画であることは勿論ですが、やはり人種の多様性を高らかに叫んだ映画でもあったと思います。髭の生えた女、著しく身長の低い男、双生児など、身体的なアドバンテージを抱えた人たちを中心に集めてショーを開き「これが私だ!(This is me)」と歌い、踊ります。こんな様々な肌やアイデンティティを持った人々が集まって楽しいそうに歌って踊れる日が来ると良いいなぁと、私はこの作品を見て思いました。

ここでちょっと触れておきたいのが、 P.T.バーナムは、映画で描かれているほどクリーンな人物像ではなかったということです。実はバーナムの興行師としての活動は、足の悪い盲目の黒人老婆をジョージ・ワシントンの乳母だとホラを吹き見世物にしたのが、始まりだったようです。このエピソードは、世の中の風潮を踏まえたうえ、映画では描かなかったのだろうと容易に想像がつきます。まぁ映画で脚色なんて当たり前ですし、リアリティーの追求するようなテイストの映画ではないので多めに見ましょう。

 

まとめ

以上、3つの映画から人種差別の問題を見てきました。

「人種の問題なんて遠い国の問題だから関係ねぇ。」なんて思って無関心なのは、間違いだと思います。アメリカほど表面化していないまでも、日本にも人種の問題は内在しているからです。例えば中国人や韓国人に対する偏見。

韓国に対しては近年、音楽やドラマを中心に様々なエンターテインメントがやって来るので、偏見を持たれたる方は少なくなった傾向を感じていますが、慰安婦や徴用工の問題などで、良い印象を持っていない人もいるのが現状です。また、在日韓国人に対するヘイトスピーチなども度々問題になります。ちなみに在日韓国人を扱った映画として、2001年公開の『GO』があったりします。(紹介しておきながら私、見てません。すみませんね。)

中国に関しては、領土問題や爆買いといった観光客のマナーの問題、そして今回のウイルスの発生源ということもあり差別や偏見する人も多いはず。実際、志村けんが亡くなった直後のSNSには「中国人に殺された」という悪質な書き込みがあったそうですし。さらに、靖国神社のトイレに「武漢人を皆殺しにしよう」という落書きをした男が逮捕される事件もありました。

this.kiji.is

 

こうした問題、私から言わせてもらうとですね。国や組織のいがみ合いは利益の問題上、生じてしまうことですが、直接関係のないような一個人同士が対立する必要はないと思います。

勿論、歴史や個人的な恨みなどが背景でその人種が嫌いな方々もいるでしょう。しかし、それが100%の人口を占めているわけありません。例えば日本が嫌いな人種がたくさんいたら、そもそも海外からの移住者や旅行客なんて来るはずないですから。

何処で生まれようが、どんな肌の色してようが結局は同じ人間なんですよ。どんな人でも、腹は減る、喉乾く、くしゃみも、あくびも、ウ○コも出る。

まぁ私の価値観を押し付けるつもりはないですが、こんな風な考え方を持った人が増えれば、少しぐらい明るい方向に世の中向かうんじゃないかと思います。

ということで、ここら辺でお開きです。ありがとうございました。

 

参考文献:

『ゾンビの帝国 アナトミー・オブ・ザ・デッド』 著者:西山智則 発行所:小鳥遊書房

↑こちらに『グレイテスト・ショーマン』記載があったので参考にしました。本書を読むとゾンビと人種問題が、いかに密接な関係にあるのかが分かります。ご興味のある方は、是非。