キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第219回:映画『夜明けのすべて』感想と考察

今回は現在公開中の映画『夜明けのすべて』を語っていこうと思います。毎度の事ながらややネタバレ注意です。

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イントロダクション

瀬尾まいこの同名小説を映画化したヒューマンドラマ作品。今年のベルリン国際映画祭への出展も決まっているようです。

PMS/月経前症候群の影響で倦怠感やイライラが抑えられなくなる藤沢(上白石萌音)。そのせいで新卒入社した会社を退職し親への負担も気にしていた。そんな中、転職先の会社の同僚 山添(松村北斗)のある行動に怒り爆発。しかしそんな彼もパニック障害を抱えて苦心する身であった。

監督は三宅唱。一昨年公開の『ケイコ目を澄ませて』が非常に素晴らしかったですね。それこそ一昨年のマイベストに滑り込みで入れましたし、本作を観に行くきっかけにもなってます。Netfilxのドラマシリーズ『呪怨:呪いの家』も良かったし、今後さらなる活躍が見込まれそうな気がしています。

主演は上白石萌音松村北斗。ええっと…萌音さんで大丈夫ですか?萌歌さんじゃないですね?どっちがどっちなのか分からなくなるという。それに松村北斗に関しても旧ジャニーズのアイドルってのは認知してるんですよ(だからかファンと思わしき方々で満席でした)。ただ、えー…ストーンズ所属の方?いや、スノーマンか?何だかそれがいつも謎で。こういうジジババ臭いマインドは修正していきたい!共演の渋川清彦や芋生悠はすぐ分かったんだから何とかなるはず。

理解を超えて

PMSパニック障害という症状のレベルがなかなか他人に理解して貰えない主人公2人。勿論ここにスポットがあたって話は進行していきますが、決して闘病生活的な路線にはならず、主人公を取り巻く人物たちにも何かしらの悩みや喪失感を抱えて生きている事が伺えるシーンが多く散りばめられています。ほんとそうだと思いますね。その人にはその人の悩みがあり、日々葛藤しながら生きているわけで。それを理解するのって非常に難しい事なのです。しかし昨今を見ると、SDGsやらダイバーシティの影響か「理解」というワードが安易に使わている気がしてなりません。なんせLGBTQ”理解”増進法なるものまで出来ましたし。無論、理解をしようとする行為自体に問題はありませんが、それ止まりでは意味がないはず。理解を超えて大事なのが「助け合い」という優しさである事が本作を観ると感じられるでしょう。

そんな助け合いが描かれるだけあって人間関係の描写は濃厚でウエットかと思いきや意外とドライ。ここが個人的には良かったですね。そっけないぐらいの関係性だけど、困っている時は手を差し伸べるといった丁度良い関係性が表現されていました。なんでしょう、私の大好きな『横道世之介』(2013年公開)らしさを感じました。登場人物たち個々の関係性は比較的ドライなんだけど、全体を通して観ると深いヒューマンドラマに仕上がってる感じ。だからか ”あのキャラはあの世界で元気にやっているだろうか?”的な事をふと思い返したくなるような心に残る映画でした。

まとめ

以上が私の見解です。

『ケイコ目を澄ませて』の時と同様、優しさと生きる強さをもった作品。優しさでいえば劇中度々登場するちょっとした手土産文化、あれ良いですね。円安物価高で悠長に手土産なんぞ買ってられっか!な世知辛かもしれませんが、貰う側もあげる側にも小さな喜びはきっとあるはず。あの鯛焼きのシーンとか観てるこっちもホッコリしてしまいましたし。時期的にいえばバレンタインなんかも良いチャンスかもしれませんね。まぁ私自身はテレワークなんでまったく関係ないんですけど…

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。