キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第119回:映画館へ愛を込めてPart9 東京の映画館野郎が大阪の映画館へ行った件

今回はちょっと視点を変えて。私、つい先日まで仕事の都合上約1ヶ月半大阪に滞在していました。長期出張と言われればまず衣食住に関する事を心配事として頭によぎるのが常人の思考回路でしょうが、まず私の頭に思い浮かんだのは「大阪って何処にどんな映画館があるんだ?」ということ。いや~我ながらキモい。そんな映画館にとり憑かれた狂人は滞在期間中に6つの映画館を訪ねましたので、今回はその際に感じた事やエピソードを色々語っていこうと思います。はっきり言って超絶個人的な雑記になると思います。つまりこれを面白がるのは私だけの想定なので悪しからず。

 

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大阪城どーん!後光が差しておる。

TOHOシネマズ梅田

大阪駅近くの東宝系(っていうか新大阪駅より大阪駅の方が栄えてるのね)。丁度「ドラえもん」と「Sing/シング」が公開していたからでしょうか。子連れの客が目立つ印象でした。東京の映画館だとドラえもんがやっていようが、コナンがやっていようがここまで子供の多いロビーは今までなかった気がします。大阪には映画が好きな子供が多いということか?ただ満席の会場がほとんどないのを鑑みると全体的に混んではいない様子でした。

もう一つ目に付いたのが売店。東京にあるTOHOシネマズの売店ってどこもかしもキャッシュレスのレジで1~2つある現金払いのレジに長蛇の列が出来ているイメージがあるんですが、ここはどのレジでも現金が使えるようになっていました。繫忙期間だから柔軟に対応していただけかもしれませんが、東京以上に現金主義者が多いのかとも思いました。まぁ私は売店、使わないんですけどね。

Warning!1戦目、独り言おじさん現る

さぁー1発目から迷惑客と相見えました。私も映画観ながら独り言を呟くタイプですけど、さすがに席が1つ空いた状態から聞こえるトーンでは言わないです。しかも独り言の内容が作品に登場する銃器の名前というまさかの私と同類だったので、一瞬自分の心の声かと思い“ついに俺も手に負えないレベルでイカれたか…”と焦りましたわ。おっさんが誤った銃器名を口にするまでマジで気付かなかった。私と同じベクトルを持つ仲間でしょうが、それは止めて下さい。

あと偏見かもしれませんが、つくづく大阪の方は会話声が軒並み大きく感じたので、独り言のボリュームも相対的に大きくなるかなと。勘弁してくれ~。

Warning!2戦目、バカップル現る

そして悪夢は続く。独り言ジジイにライフを削られた状態で2作品目に挑むと再び敵が。今回は感じ悪いカップル。男の方は上映中スマホの通知音を平気で鳴らして開くというマナーのマの字も知らない阿呆。しかも2回やるってマジかよ…。多分女が観たいと言ったから金魚のフンみたく付いて来ただけでしょう。本編終わった瞬間、即効退場してました。もしや携帯の連絡相手って別の女じゃね?そして女の方はエンクレジット中に、ひたすらスマホのライトを煌々と照らすという醜態ぶり。落し物をしたんでしょうけど場内が明るくなってから探すのが常識かと。普段だったら探すのを手伝うかもしれない心優しい聖人君主な私だけですが、これは相手にしてられません。一生探してろ!


なんばパークスシネマ

なんばパークスなるショッピングモールにある松竹系っぽいシネコン。朝イチの回を観るため9時ちょっと前に行ったらエレベーターに列。デパートとかショッピングモール併設の映画館だとあるあるな光景ですが割と久しぶり。こちらの映画館も子連れ客多めでした。朝だから空いてると思ったんですけどね。

で、こちらで鑑賞したのが『SING/シングネクストステージ』の吹き替え版だったので場内は家族連れがほとんどの割合を占めており、寧ろ野郎一人の方が異端分子。あぁこのアウェイ感、久々です。『トイストーリー4』以来かも。上映中に時々聞こえてくる子供たちの喋り声は嫌いじゃないです。子供が映画を観ながらお父さんお母さんに話かけているのは健全な親子関係が築かれている証拠でしょう。でもね、それをいい歳こいた連中同士でやっているのが見るに堪えないのよ。キッズたちよ、そんな恥ずかしい大人には成らず健康で文化的な映画好きに育っておくれ。


テアトル梅田

テアトル系のミニシアター。地下に入っていく映画館って好きなんすよね。落ち着く空間って感じがして。この日は雨だった事もありかなりガラガラ。客層はまぁ『ポゼッサー』なんていうR18指定の作品を観たので百戦錬磨な風体な人ばかり。そりゃそうだ。

あと興味深かったのが、スクリーン1のトイレ側の通路に様々な映画のチラシが集まったポスターが貼られていました。『トレイン・スポッティング』や『ディストラクション・ベイビー』が含まれていたような。この映画館で上映された話題作って感じでしょうかね。

ちなみに映画館の上にヴィレッジヴァンガードが入っているのを確認。あそこは地味にアメコミやSWだったりの映画グッズを置いてるんで隅には置けん。


109シネマ大阪EXPO

万博記念公園のお隣にある東急系。ガラス張りのおかげかかなり明るく開放的な映画館でした。ここで『アンビュランス』のIMAX上映があるなんてちょっと似つかわしくないわね。

ららぽーと併設ということもあってやはりここも子連れ客多し。子供が多いのは構わないんだけど、ロビーを駆け回るの子供の対処は何とかして欲しいですね。気持ちは分かるよ、俺だって映画館に来ると心の中がワクワクで爆走してますから。

そして恐らく大阪で唯一のIMAXレーザーで作品鑑賞。IMAXレーザーは新宿と池袋で経験済みですが、いつもより縦長に感じたのは気のせいでしょうか。一括りにIMAXレーザーと言っても各々大きさは異なるんでしょうかね。


梅田ブルク7

繁華街からは少し離れたビジネス街っぽいところに建つ東映系。バルトやらブルクやら。こちらは比較的人が少なくて良かったです。割とどの作品もチケット予約しなくても良い席が取れそうな感じ。でも『ナイトメア・アリー』は流石に少な過ぎた。私史上最少人数記録更新のたった3人!観に行ったの公開2週目でしたけど、えぇ…人気ないのか。

それとここの座席は椅子のドリンクホルダーが両サイドにない、というか肘掛けが座席一つ一つに設けられているのが新鮮でした。これなら肘掛け/ドリンクホルダー争奪戦を防ぐ効果がありそう。ただドリンクホルダーは右にしかないから左利きの人には優しくないと思いました。

ちなみに「ファンタビ」のファンって多いんですね。ロビーのデカいポスターの前で記念写真を撮る人がぎょうさん。あのナナフシみたいなキャラのぬいぐるみとセットで撮影してた人も居たし(あれはSNSにあげるね)。それに気づくまで撮影の邪魔になるポジションに立っててすいませんでした。吹き替え需要も高めなのか結構人が入っているようでした。おじいちゃんと孫と思われるコンビが入場して行く姿にほっこり。いいよね~そういうの。

Warning!3戦目、スマホ野郎再び

こちらの映画館には2回行ったのですが、2回目の際にスマホ開くマンと遭遇。またです。遭遇スパンが短いよ。もう目にするの疲れたので、その愛するスマホと共に心中して下さい。さようなら。


大阪ステーションシネマ

大阪駅直結の松竹系。映画館のすぐ傍が展望デッキの広場みたいになっているのが洒落てましたね。ただ眺めは再開発の工事現場なので決して良くはなかったですが、出来上がったら多少は良いかも。ここ以外にも大阪駅には随所に広場が設けられていたので、映画はしごの都合上カフェやレストランに入るほど余裕のない時間を潰す場合に便利な気がしました。

抜群の利便性からか大阪に乗り込んでから来た映画館の中では一番の賑わい。大阪の映画館ユーザー、ここに集結してましたか。そんな盛況なロビーで待機していると隣にいた2人組からハリーポッターについての会話が。そうそうこれですよ、映画館の良いとこ。ってか「ファンタビ」まだ観てないな、近いうちに行っときますか。

ちなみにこちらの映画館も2度行きましたが、奇遇にも2回とも同じ一番端にあるスクリーン12で鑑賞しました。なんか面白くない偶然。ちゃんと調べればよかった。

番外編

実際に映画を鑑賞するのに行ったわけではなく通り過ぎた映画館を2つほど紹介。

・シネ・リブール梅田

梅田スカイビルなる奇抜な形の高層ビルの中にあるミニシアター系の映画館。たまたま発見したので、丁度良い時間帯の作品があったら適当に観ようかと入り口で上映スケジュールを眺めましたが、既に鑑賞済だった『ちょっと思い出しただけ』しかなくて断念。いや~おかわりもアリだったんですけどね。って言うかなかなかのロングランじゃないですか。

・新世界国際劇場

通天閣を中心とした新世界の区画にある2番館。こちらは思わず写真をパシャリ。

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うほー!まさかの昭和レトロが生き残っていた。文字のフォントと色味が好き過ぎるし、「二人のそろえば殺し合い〜」ってどういうこと?w。ここ最近の映画館ってどこも小奇麗ですし、私自身が世代ではないので逆に新鮮味のある外観でした。この写真見ると、今の時期はアメコミとスパイとリーアム・ニーソンの三重奏ですね。ミックスフライ定食ばりに欲張り。

ちなみにお隣には国際地下劇場なる成人映画館もありました。おぉ上野でしか見たことなかったけど、なんかノスタルジック。ポスターのあからさまな感じもそれはそれで良き。まぁチキンなんで入る勇気はなかったんですけど。

 

まとめ

以上、興奮と時々毒でお送りした映画館放浪記でした。観たい作品の兼ね合いでシネコンばかりになってミニシアター系列が攻められなかったのが心残りではありますが、大阪の映画館の大きな特徴して

・子供が多い

・座席予約戦争は緩やか

・ヤバい客とのマッチ率高め

の3点だと感じました。あくまで個人の見解なので異論は認めます。ということで現場からは以上。ありがとうございました。

第118回:映画『モービウス』感想と考察

今回は現在公開中の映画『モービウス』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

日本でもそれなりに話題となった『スパイダーマン/ノーウェイホーム』。そんなスパイダーマンの敵として登場するアメコミキャラクター モービウスを主役にした作品。

血液の難病を患った医師のマイケル・モービウス(ジャレッド・レト)は、同じ病気を患った人々を救うための研究に奔走していた。その一環として吸血コウモリのDNAを使った治療法を自らを検体に乗り出し結果並外れたパワーとその代償を得る事になる。

監督はダニエル・エスピノーサ。2017年公開のSFホラー『ライフ』を監督してた方ですね。あの映画、面白いですが抜群に後味が悪いので二度と観ない作品だと思ってます。

主演のジャレッド・レト(2013年公開『ダラス・バイヤーズ・クラブ』)はヒョロヒョロからムキムキに変貌を遂げるという相変わらずの体当たり演技。作中で体重の変動をさせているということでしょうから、体が大丈夫なのかちょっと心配になります。

また去年公開の『ラストナイト・イン・ソーホー』時と同様“カッコつけ”なマット・スミスや「ワイルドスピード」シーリーズでお馴染みのタイリース・ギブソンも出ています。個人的には2019年の『6アンダーグラウンド』のアドリア・アルホナが出てたのがアツかったです。

悪くないけど

ええ、何だか軒並み評判はよろしくないようですね。マーベル作品にもかかわらず売り上げが伸び悩んでいるのは公開回数の少なくなるスピードからも伺いしれます。でも私個人としてはそれほど悪くはなかったかなと。ライミ版「スパイダーマン」シリーズだったりの2000年代のライトなアメコミ映画を思い出すようなストーリーとジャレッド・レトやマット・スミスの好演は良かった点でしょう。

しかし評判の良くない理由は容易に想像が出来ました。その最もな理由が典型的な予告編の失敗です。まぁもう言ってしまって良いでしょうが、予告編の時点でMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の流れを組む2017公開『スパイダーマン/ホームカミング』に登場したマイケル・キートン演じるヴィラン ヴァルチャーの登場が明かされていました。ディズニーはソニーマイケル・キートンを譲渡したって事でしょうか。だとすれば、えぇーっと…それはサプライズポイントとして隠しておくべきだったんじゃね?「ヴェノムだ」ってホラを吹く台詞も使っちゃってるしので、これら以外のサプライズポイントは一つもありません。だから盛り上がりに欠けるファンは多いのかなと思いました。はっきり言って予告の作成者は本作を売る気があったのかが疑問です。そういう作品時々あるよな。

それに逆張り的な事を言えばマーベル映画は、他作品との強固な関連性やサプライズ演出がないとやっていけなくなっているような気もしてしまいました。あぁもう一回『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年公開)みたいな単独作品としての傑作を放って欲しいのよ。この気持ちは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の3作目で叶うだろうか。

まとめ

以上が私の見解です。

悪くないとは書きましたが、アクションシーンの観点で言えば頂けません。スピード感を演出したいと思われるごちゃごちゃしたカメラワークは逆効果。しかも煙みたいなエフェクトがキャラクターがどう動いているかをより見にくくしていました。アクションってさ、対象物がどう動いているかをちゃんと見せるのが大事だと思うんだけどなぁ~。

ちなみに私観ている間は児童小説『ダレン・シャン』をふと思い出してました。「児童小説」って書いたけど大人が読んでも普通に楽しめるシリーズ。小学生の頃大好きで2周ぐらいしたっけか。映画版は微妙だったけど。

というわけでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

第117回:映画『シャドウ・イン・クラウド』感想と考察

はい、ご無沙汰になってしまいました。一時的に外で仕事をすることになり久々の通勤ライフのせいで毎晩寝落ちの日々。テレワークが如何に体力を温存させているかを痛感しています。とは言っても映画を観るのは変わらず。ということで今回は現在公開中の映画『シャドウ・イン・クラウド』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

戦争ものと怪獣ものがドッキングしたカオスなサスペンスアクション。

舞台は1943年の戦時下。ある機密任務を命じられた連合国軍の女性空軍将校 モード・ギャレット(クロエ・グレース・モレッツ)は、ニュージーランドからサモアへ向かう爆撃機に乗り込んで上空へ飛び立つ。男性乗組員たちからのハラスメントな言葉を浴びせられうんざりする最中、謎の生物を目撃。それは空軍内で噂されている“グレムリン”であった。日本の零戦からの攻撃に晒される中、グレムリンと対峙していく様が描かれる。

主演はクロエ・グレース・モレッツ。基本的にそれ以外人物の登場は少なめです。実は私が初めて好きなった女優さん。きっかけとなった作品は無論『キック・アス』(2010年公開)。あのギャップに完全にやられもうた〜。その後は『モールス』(2010年公開)や『ヒューゴの不思議な発明』(2011年公開)、『イコライザー』(2014年公開)などと定期的にチェックしていたのですが、ここ最近はご無沙汰になってました。去年公開の『トムとジェリー』やNetfilxの『マザー/アンドロイド』まだ観てないもんなぁ。という訳で久々にホームグランドに帰ってきた気分、お久しゅうございます。

 

大胆な2幕構成

本作は前半と後半でだいぶ毛色の変わる大胆な構成をしている作品だと思いました。

まず前半は体育会系の極限形態であろう軍隊、しかも今ほどジェンダー諸々の良識が広まっていない時代が舞台なので、そうなるでしょうねな酷い会話が展開。これを無線のやり取りだけでという主人公の一人芝居で見せます。この時点を観てまでは、“斬新さはあるけどまぁイマドキのテーマを扱ったやつか、じゃアクションは二の次だね”とちょっと期待していたのとは違う面持ちでした。

しかし後半は急転直下、『ロード・オブ・ザ・リング』にでも出てきそうなビジュアルの獣“グレムリン”との対決が本格化します。なんか日本の零戦もちょくちょく攻撃してくるけど、そんな事よりグレムリンじゃ!飛行中の航空機という限定的な空間で繰り広げられる“それはないだろ”とツッコミたくなるトンデモアクションの連続コンボ。おぉ楽しいぞ。おまけに素手でタイマンを張るというバカっぽいけどアツいシーンもあり。吠えて拳を振りかざすクロエちゃん…ではなくクロエ氏の腕っぷしの強さ、ぱねぇっす。

 

まとめ

以上が私の見解です。

「意外と面白い」という言葉が相応しい佳作。大々的に広告が打たれてもいないですし、公開規模もそれほど大きくないので、この手が好みの人にとっちゃ伏兵的な作品かと思います。エンドクレジットも良いぞ。

それと作中「WAAF」というワードが出てきます。気になったので調べてみたところ、日本語で婦人補助空軍。イギリスで人員不足克服の為に編成された部隊で、舞台となっている1943年には18万人が従軍していたようです。第2次世界大戦に多くの女性が従軍していたんですね。まだまだ知らない事があるなぁー。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

 

参考:

婦人補助空軍 - Wikipedia

第116回:映画『アンビュランス』感想と考察

今回は、現在公開中の映画『アンビュランス』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

 

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↑このIMAX版のポスター、結構好き。

イントロダクション

トランスフォーマー」や「バットボーイズ」シリーズを手掛ける破壊のスペシャリスト マイケル・ベイ監督の最新作。

アフガニスタンからの帰還兵である主人公 ウィル(ヤーヤ・アブドゥル=マーティン2世)は、妻の治療費の為に“兄”のダニー(ジェイク・ギレンホール)が提案した3200万ドルを強奪する銀行強盗に参加する。首尾よく進むかと思いきやそうはいかず。逃走の為にジャックした救急車には救急救命士(エイザ・ゴンザレス)とウィルに撃たれて生死を彷徨う警官が。彼ら2人を巻き込んで警察とのLAを舞台に大チェイスを繰り広げることになる。

マイケル・ベイ監督の新作が映画館で公開されるのは久しぶり。前作は2019年にNetfilxで配信された『6アンダーグラウンド』(これ映画館で観たかったなぁ)でしたので、2017年公開の『トランスフォーマー/最後の騎士王』以来ですね。5年ぶり、待ってました。

キャスト陣は“俺得”な方々が勢ぞろい。主人公を演じるのは『アクアマン』(2018年公開)や『キャンディマン』(2021年公開)のヤーヤ・アブドゥル=マーティン2世。『シカゴ7裁判』(2020年公開)にも出てますし、いや~良い作品に出てんな。

そして『ナイトクローラー』(2014年公開)のジェイク・ギレンホールが血の気の多い主人公の兄弟分を熱演。どんな作品にもサラッと馴染むのがこの役者さんの特徴。久しぶりに『雨の日は会えない、晴れた日は君を思う』(2015年公開)が観たい。

そんな二人の逃亡劇に巻き込まれる救急救命士を演じるのは『ベイビー・ドライバー』(2017年公開)のエイザ・ゴンザレスミーガン・フォックスのイメージからか、いかにもマイケル・ベイ作品のヒロインって感じがします。そういえば去年の『ゴジラvsコング』にちょっとだけ居た気が。

さらにニール・ブロムカンプ監督作品にちょくちょく登場する“マルチネス” ホセ・パブロ・カンティージョも居るぞぉ!さすがにニッチ過ぎるかもだけどアツいわw。

ベイ節、炸裂

イントロダクションの記載内容から察してもらえるかと思いますが、個人的には面白さの確定案件。ただその期待値を優に超えるベイ節が炸裂した作品でした。

まず何と言ってもキレとパワーがほとばしるアクション。ドローンで撮影されたと思われるクルクル回る空撮映像が多用されたカーチェイスと衝撃映像クラスの破壊描写によってバキバキに仕上がっています。この派手な映像に持ってかれがちですが、役者各々のドアップショットだったり色合いにメリハリのあるライティングも冴えてます。

さらに「ザ・ロック」や「バットボーイズ」を使った自虐ネタや中盤の治療シーンの悪趣味っぷりといいブラックユーモアも良し。やっぱりマジメにバカやってる映画って強いのよ。久しぶりに脳ミソが興奮で溶けるんじゃないかと思う爽快感。これこれ、この感覚!

こういう映画減ったよね

IMAXで観たという事もあってか終始興奮しっぱなしだった私ですが観終わってから思ったのが、こうした純粋な“ザ・ハリウッドエンタメ”な映画が少なくなったという事でした。

昨今どうもビッグバジェット系の作品にも社会的意義みたいなものが求められがちです。来週から新作が公開される「ハリーポッター」シリーズはいつの間にか分断がテーマになっているように見えるし、親がディズニー系列の作品は意識し過ぎて肝心な内容より際立っている印象を受けたり。まぁ色々配慮しないといけないご時世なのはよく分かります。でも目くじら立て過ぎなんじゃないかと思う事も多々あるんです。“えっそんなに意識高い系アピールしたいの?”とちょっと辟易した気持ち。

そもそもですよ、これ言っちゃ怒る人がいるかもしれませんが映画の一番の要素は「見世物」だと思ってます。だから諸々意識しまくってる作品だと心の底から楽しめないんですよね。本作みたく良い意味でバカっぽくてお気楽な作品がもっとあっても良いはず。もう少し肩の力を抜いた時代に戻らないかなぁ…。

まとめ

以上が私の見解です。

あぁ分かってもらえるかなぁ~、この歯痒さ。と話があらぬ方向に行ってしまいましたが、そんな事も観ている間はどうでも良くなる爆速っぷり。ツッコミどころも知ったことか!今年のアクション映画の代表格になろう傑作でした。

あと強盗グループのメンツ、オモロい。メル・ギブソンって呼ばれてる奴いたけど似てないだろw。ポリ公見た瞬間アホみたいに銃撃ってたけど。あと調子ぶっこいたビーサンロン毛も最高。銀行強盗にビーサンで挑むとか、近所のコンビニへの買い物感覚かよ。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

第115回:映画『ベルファスト』感想と考察

今回は現在公開中の映画『ベルファスト』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

トロント国際映画祭で観客賞を受賞し、今年の米国アカデミー賞では作品賞、監督賞ほか計7部門にノミネートされたヒューマンドラマ。

舞台は北アイルランドベルファスト。そこで育った主人公の少年 バディ(ジュード・ヒル)は家族や友人と共に穏やかな日々を過ごしてした。しかし1960年代の後半から始まった少数派カトリック系住民の排斥運動による地域紛争 北アイルランド問題によって一転。暴力と隣合わせの環境下、バディとその家族は故郷を離れるか否かを迫られる事になる。

本作は監督・脚本を務めるケネス・ブラナーの幼少期に基づく自伝的作品となっています。っていうか現在ギリギリ公開中かと思われる『ナイル殺人事件』の監督も務めているので、『ベルファスト』&『ナイル殺人事件』でケネス・ブラナー特集を組んで映画館はしごする猛者が居るんじゃないか?w

キャストも良いメンツが揃ってます。お父さん役はジェイミー・ドーナン。「フィフティ~」シリーズが有名だと思いますが、個人的には2016年公開『ルイの9番目の人生』が結構好きなんだよな。お母さん役はカトリーナ・バルフ。名前だけだとピンと来なかったのですが調べたところ大傑作『フォードvsフェラーリ』でクリスチャン・ベール演じるケン・マイルズの奥さんを演じていた方でした。あぁもう映画館で観てガチ泣きして2年になるのか、懐かしい。そして、おばあちゃんはジュディ・デンチが演じています。エンドクレジット見るまで分からんかった。数多の作品に出ているレジェンドですが、ブラナー監督作で言えば2017年公開『オリエント急行殺人事件』に出てましたね。

奇しくも重なるウクライナ侵攻

本作の大きな軸となるのが「北アイルランド問題」と呼ばれる民族紛争。北アイルランドに存在していたプロテスタントカトリックの長きにわたる分断が1969年に武力闘争へと変貌。イギリス軍をも巻き込んだ争いとなり、1998年の和平合意に至るまでの間に3000人以上が死亡したとされています。私自身、本作を観るまでは名前を聞いた事があるぐらいだったので、まさかここまでの年月と死者数を出した悲劇だとは思ってもみませんでした。

これを幼い頃に経験したのがブラナー監督。冒頭の下町情緒溢れる平穏な日常が一変する様には息を吞みます。しかしそんな激動の中でも変わらないのが、家族を思う気持ちであったり故郷での思い出だったりするわけで、分断や暴力よりも家族愛やノスタルジーにフォーカスの当たった作品だと思いました。それなので見終わった後は決して暗い気持ちにはならなず、寧ろ希望を感じられる作品だったと思います。

しかしバディとその家族は故郷を離れるか否かを迫られる様子は、連日報道されている難民とならざるを得ない人々の境遇と重なってしまいます。現在ウクライナ国内の子供たち750万人中430万人が国外への避難を余儀なくされているようです。主人公のように友達をはじめ親しい人たちとの別れを拒んだり、悲しんだりした子供たちが多くいるはずだと思うと心苦しい限りです。一刻も早く平和な日常が訪れる事を願ってやみませんし、悲しみで花が咲くものかってことをあの人に分かって欲しいものです。

まとめ

以上が私の見解です。

最後の“悲しみで花が咲くものか”はサンボマスターの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」に登場するフレーズです。あの歌、愛と平和を高らかに歌ってますから。

イムリーなテーマとなってしまった作品ですが、上記のように悲しいだけではないので多くの人が感動出来る作品かと思います。

あっそういえば主人公が「マイティ・ソー」のコミックを読んでいるシーンがありましたね。なるほど、分かる人には分かるネタです。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

 

参考:

北アイルランド紛争とは - コトバンク

ウクライナ危機 紛争激化から1カ月が経過 子どもの難民は430万人に

 

第114回:映画『ザ・バットマン』感想と考察

今回は現在公開中の『ザ・バットマン』について語っていこうと思います。毎度のことならが、ややネタバレ注意です。

 

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顔・圧

イントロダクション

DCコミックスの人気キャラクターで幾度となく映像化されてきたヒーロー バットマンを主人公にしたサスペンスアクション。

大富豪の御曹司ブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)は、幼い頃に両親を失った過去によって生み出された悪人に対する復讐心から“バットマン”として夜な夜な犯罪者狩りを行っていた。そんな中、現ゴッサム市長が殺害され犯行現場には「なぞなぞ」が残されていた。バットマンとゴードン警部補(ジェフリー・ライト)は捜査を開始するもやがて街に蔓延る腐敗やブルースの過去と対峙していくことになる。

監督はマット・リーヴス。リメイク版の「猿の惑星」2作品(2014年&2017年公開)や『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008年公開)を手掛けている監督。私個人としては安定感のある監督さんという印象があります。なのでバットマンを撮るというニュースを目にした時点で、まず失敗する事は無いだろうと思っていました。(なんか偉そうw)

今回のバットマンは、『TENET/テネット』(2020年公開)のロバート・パティンソンが不健康そうな顔で熱演。「トワイライト」シリーズの時の色白とは違って、絶対不眠症なやつれ具合。っていうか去年日本で公開した『ライトハウス』や『グッド・タイム』(2017年公開)といい、決して健康そうには見えない生活環境の人物を演じてることが多い気がするぞ。

その他ポール・ダノ(2007年公開『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』)、コリン・ファレル(2002年公開『フォン・ブース』)、ゾーイ・クラヴィッツ(2015年公開『マッド・マックス 怒りのデスロード』)等が出演。地味にピーター・サースガード(2009年公開『エスター』)が出てるのがお得感ありました。

 

敵は「街」そのもの

今回のバットマン映画のテーマは小見出しの通り。『ダークナイト』(2008年公開)でもその要素してはありましたが、今作ではそれがより深く感じるようになっていたかと思います。

舞台となるバットマンが活動する街 ゴッサムシティは政治腐敗や汚職、麻薬、暴力が蔓延。子育て世帯や独身女性には絶対人気ない街だろう荒廃っぷりです。それを悲しむかのように全編に渡って降りしきる雨がフィルムノワールの様相を引き立たせます。今作のヴィランとなるなぞなぞ男リドラーバットマンとの絶妙な距離感を繰り広げるキャットウーマンはそんな「街」によって人生を狂わされた人に過ぎないように感じられます。それに復讐を原動力としているベクトルは復讐心で悪を成敗しようとするバットマンと同じ。

彼らの存在を知ったバットマンは、街を救うために必要なのは復讐心ではなく希望である事を悟っていきます。終盤の発煙筒を掲げて人々先導していく姿や、朝焼けをバックに怪我人に手を差し伸べる姿は希望を象徴する非常に印象深かいシーンでした。

 

まとめ

以上が私の見解です。

復讐から希望へとシフトするリーヴス版「ビギンズ」。サスペンス要素よりもヒューマンドラマ味が強く感じられたのもポイント。特に執事のアルフレッド(アンディ・サーキスの元軍人感が良き)との絆に胸アツ。続編ではこの二人の関係性にもっとフォーカスして欲しいですね。

ただ全体的にカッコ良さに舵を振り切っていて、ガジェットに遊び心が無かったのは残念。特にバットモービルは超絶カッコ良いデザイン(ちょっと「マッドマックス」のインターセプターっぽかったよ)だったのに、頑丈だけが取り柄にしか感じられなかったからな。あんなデカいエンジン積んで速そうに見えてそうでも無いってものね。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

 

バットマン関連作についてはこちら。

captaincinema.hatenablog.com

captaincinema.hatenablog.com

第113回:映画『レゴバットマン ザ・ムービー』感想と考察

さぁDCコミックの人気ヒーロー バットマンの新作、その名も『ザ・バットマン』の公開を記念して今回は2017年公開『レゴバットマン ザ・ムービー』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

 

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captaincinema.hatenablog.com

↑以前扱った“バットマン”と言えばな映画『ダークナイト』についてはこちら。

イントロダクション

ブロック玩具の代表格「レゴ」を題材にした2014年公開『LEGOムービー』に登場したバットマンを主人公にしたアニメーション映画。とは言っても物語的な関連性は特に無く、独立した作品となっています。私レゴは子供の頃大好きでした。あぁ懐かしい。映画ネタで言えば「ハリー・ポッター」とか「スパイダーマン」のを持ってましたね。

孤独のヒーロー“バットマン”ことブルース・ウェインは、ヒーローとしての華々しい活躍とは裏腹に私生活では一人ぼっちな生活を送っていた。そんな中、宿敵ジョーカーが宇宙の牢獄に閉じ込められていた極悪人たちを引き連れてゴッサムシティを破壊する事態が発生。街の危機を救うべく、成り行きで引き取る事になった“ロビン”こと孤児のディックと共に立ち上がる。

監督はクリス・マッケイ。去年アマゾンプライムで公開した『トゥモロー・ウォー』を手掛けています。う~ん、CMで見て気になってたんだけどアマプラは入ってないからなぁー。DVDで出ないかな。

声出演のキャストはなかなか面白いメンバーが揃っています。バットマンの執事 アルフレッドをレイフ・ファインズ(最近だと『キングスマン/ファースト・エージェント』)。スーパーマンチャニング・テイタム(2012年公開『21ジャンプストーリー』)。ゴッサム市長をマライア・キャリーが演じていたりしています。特に興味深いのがキャットウーマンの声は今回の『ザ・バットマン』で同役を演じているゾーイ・クラヴィッツが務めています。2013年公開『ダークナイトライジング』の際は、肌の色が理由で同役のオーディションから落とされていたという話があがっていましたが、「キャットウーマン」とは相当縁の深い女優さんです。

 

バットマンの最大の弱みは?

さて、バットマンの弱点とは一体何なのか。スーパーマンのような超自然現象的な特殊能力が無いことか?それもそうかもしれませんが、今作で描かれるのは「人間関係を築くこと」が弱みとして描かれます。

小さい頃の親を失ったことがトラウマとなり、同じを苦しみや痛みを味わうぐらいなら誰とも親しくならずに居れば良い。そんなスタンスなのでピンチの時も誰かに頼ろうとはしません。ヒーローとして活躍した後は、レンチン飯を貪りギターと恋愛映画を一人で嗜むというぼっち充。おまけに永遠のライバル ジョーカーに対しては長年の付き合いにもかかわらず、単なる悪党の一人としかみなしていない態度を取ります(この時のジョーカーの悲しそうなウルウル目が可愛い、かまってちゃんかよw)。

しかしいくら孤高を貫こうとも寂しさを隠し切れないバットマン。一人じゃ解決出来ないような問題にもぶち当たったりします。つまり、大富豪のスーパーヒーローだろうが筋肉モリモリで腹筋が割れていようが、一人で生きていくのは難しいということ。そんな全ての人に共通しそうなテーマを軽快なトーンで活写しています。バットマン関連作品は暗く、どちらかと言えば大人向けなイメージが強いせいか、ある意味異彩を放つフレッシュな内容に感じられました。

 

まとめ

以上が私の見解です。

控えめに言ってめちゃめちゃ面白いです。バットマン映画の中でも指折りの傑作だと思います。

とにかく映画が好きな人にとっては、お祭り騒ぎな作品であるのもポイント。ハリウッド映画あるあるをネタにしたオープニングは最高。登場する悪役はバットマンシリーズの敵のみならず、某指輪好きのでっかい目ん玉野郎や某額に傷のある青年を追い回す名前が禁句の魔法使い。そして去年、我らがジャパニーズモンスターとプロレスを繰り広げた某ゴリラなど著作権無用のやりたい放題っぷり。ワーナーは「レディプレ」以前にやっちゃてたんですよ。極めつけはバットケープ(バットマンの秘密基地)に入る際の合言葉は「くたばれ、ア○アンマン」。同じ金持ちヒーローだもんねw。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。