キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第45回:2020年ベスト映画(前編)

ついに、2020年を振り返る大変悩ましくも楽しい季節がやって参りました。 それは、今年のベスト映画を決めること。今年私が映画館で鑑賞した作品は57作品。全タイトルがこちら。

  • パラサイト/半地下の家族
  • カイジ/ファイナルゲーム
  • スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
  • フォードvsフェラーリ
  • ジョジョ・ラビット
  • ナイブス・アウト/名探偵と刃の館の秘密
  • リチャード・ジュエル
  • バットボーイズ/フォー・ライフ
  • 1917/命をかけた伝令
  • ザ・ピーナッツ・バター・ファルコン
  • ミッドサマー
  • 初恋
  • スキャンダル
  • ジュディ/虹の彼方に
  • Fukushima50
  • ロング・デイズ・ジャーニー/この夜の涯てへ
  • ハーレークインの華麗なる覚醒
  • レ・ミゼラブル
  • デッド・ドント・ダイ
  • ストーリー・オフ・マイ・ライフ/わたしたちの若草物語
  • ドクター・ドリトル
  • ランボー/ラストブラッド
  • サンダーロード
  • SKIN/スキン
  • WAVES/ウェイブス
  • 透明人間
  • 劇場
  • ディック・ロングはなぜ死んだのか
  • カラー・オブ・スペース/遭遇
  • アルプススタンドのはしの方
  • ブックスマート/卒業前夜のパーティーデビュー
  • 2分の1の魔法
  • ようこそ映画音響の世界へ
  • テネット
  • ミッドウェイ
  • mid90s/ミッドナインティー
  • ミッドナイトスワン
  • フェアウェル
  • シカゴ7裁判
  • ストレイ・ドッグ
  • 博士と狂人
  • スパイの妻
  • ザ・ハント
  • ヒルビリー・エレジー/郷愁の哀歌
  • ミセス・ノイズィ
  • ベター・ウォッチ・アウト/クリスマスの侵略者
  • ワンダーウーマン 1984
  • 私をくいとめて

再上映作品

 

あれっ鑑賞本数、去年に比べて増えてる? 緊急事態宣言で映画館が閉鎖されている期間があったり、自粛自粛と言われているのに…。これは申し訳ございませんでした。(誰に謝ってんだか)

そして例によって、赤字が邦画になります。こちらも増加。洋画に比べたらまだまだですが、毎年徐々に増加傾向が見られますね。去年は4本ぐらいでしたからね。今年は大作の洋画がほとんど吹っ飛んだことも影響してますけど、“守備範囲広がってきたなぁ”っと1人ニヤニヤしている次第です。この中から、誠に勝手ながら栄えある傑作10作品を選出していきます。なお、再上映作品は選考の対象には含めず、あくまで今年公開された作品のみを対象としています。あっ、一応ネタバレあるかもしれないのでご注意あれ。

 

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↑今年、入手したパンフレットたち。

 

第10位

それでは早速いきましょう。ランキングに滑り込んできた最初の作品は・・・

 

 

『劇場』

又吉直樹の小説が原作。劇作家の男とその彼女の恋愛模様が淡々と描かれた作品。

この原作を丁寧に映像化していたと感じました。小説内の文章も、がっつりセリフとして使ってましたし、かなり忠実だったと思います。しかし、ただ忠実で再現するのではなくラストは映画らしい捻りを入れていたのが個人的にはポイント高かったです。思わず“なるほど”と呟いてしまいました。

また役者さんが良いですね。松岡茉優が芸達者なのは分かっていましたが、山崎賢人には驚かされました。私の中で山崎賢人は、女の子たちが好きそうなキュンキュン恋愛映画のイメージが強す過ぎて、格好いい感じの役しかやらないんだろうなっと思ってました。しかし今作で演じているのはクソ男。常に気だるそうにしている屁理屈ばっかりの奴ですよ。これが上手。ああいうクズ男を演じる山崎賢人をひたすら観たいと思ってしまいました。他の作品でないのかなー。

また、私の好きなアーティスト KingGnuの井口理がちらっと登場していたのでランクインです。

 

第9位

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしたちの若草物語

こちらも小説が原作ですね。ルイーザ・メイ・オルコットの小説『若草物語』をベースに、四姉妹のそれぞれの歩みを描いた作品。

改めて考えてみると今作のテーマは「幸せ」ついてだったと思います。各々の障壁にぶつかりながら、それぞれの形の違った「幸せ」を模索していきます。「幸せ」には小説のような筋書きはいらないってことですよね。仕事や恋愛/結婚、趣味、どこに比重を置くかは自分で決めるしかない。誰かの指図を受ける必要なんてないというメッセージが受け取れました。

あのですね、正直観る前はちょっと舐めてました。まさかこんなに爽やかな感動が得られるなんて…。色使いやフレッシュなキャスト陣なども含め、混乱を極め雲行き怪しい現代には、こういう映画が必要なんですよ。

 

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第8位

 『シカゴ7裁判』

ベトナム戦争の反対運動を企てたとして起訴された7人の男たちの裁判劇。1968年にアメリアで実際にあった裁判をベースにした作品です。

エンタメ性と社会的メッセージ性のバランスの良さはさることながら、スピード感がエグい。冒頭の状況説明&主要人物紹介シーンなんて恐ろしいほどハイテンポ。でも決して置いてけぼりにさせないところが巧みだなと感じます。むしろ、このスピード感が気持ち良いぐらいですから不思議なものです。

また、今年屈指の演技合戦が観られる映画でもあったと思います。 エディ・レッドメイン、ジョセフ・ゴードン=レビット、サシャ・バロン・コーエン等ハリウッド俳優好きならテンション上がるメンツが勢揃い。特に私はマーク・ライランス演じる弁護士にやられました。被告側のメンバーの中では、冷静に振る舞うキャラクターですが、権力の乱用や不正を前に内に秘めた闘志が噴出する感じに心掴まれました。

 

第7位

『ミッドサマー』

白夜に繰り広げられる90年に1度の祝祭に遭遇した大学生たちを描いたホラー映画。「ホラー」とは書きましたが、純粋なホラーではない何か新しいタイプの作品と言った方が良いのかもしれません。なので“面白かった!”というより、“なんか凄いもの見せられたなぁ”というのが率直な感想です。なかなかこんな作品に出会う機会はないと思うので、期間限定で公開をしていたR18のロングバージョンを観に行かなかったことを、最近になって後悔している自分がいます。映像の華やかなさも今年一番だったと思いますし。

そんな今作の監督アリ・アスターの次回作は、4時間越えの悪夢コメディ。しかも主演は、『ジョーカー』や『ザ・マスター』でのクレイジー演技が冴えわたるホアキン・フェニックスという噂。ヤバ過ぎる香りがプンプンします。映画の内容に目を背けたくなっても、今後の動向からは目が離せません。

 

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第6位

ザ・ピーナッツ・バター・ファルコン』

憧れのプロレスラーになる為、施設から脱走したダウン症の青年が兄を亡くした孤独な男と共に旅をするロードムービー

だからさぁ、ロードムービーはダメだって。ロードムービーネタが個人的に弱点であることや観終わった後に温かい気持ちになれるので、当然のランクインなのですが、それ以外にも非常に良いところがありました。

それは障害を持つ人に対するフランクな姿勢です。「障害者には気を遣いましょう」というお節介じみた内容が感じられないのです。むしろ周りが過度に気を遣うことで彼らの夢や自由を奪っている可能性があることを示唆してると思うのです。

だって、たいての人は障害を持つ人を安全の保障も出来ないような大自然の中を連れまわして、挙句プロレスをやらせるなんてヤバい奴だと思うはず。しかし本人の夢を叶えさせてあげるという信念を糧にしているからこそ意義のある行為となるのです。

実際に障害者を抱える俳優を主役にするそのキャスティングにも、そんなフランクな姿勢は現れていると思います。

あと、養護施設の職員を演じるダコタ・ジョンソンが綺麗。あんな人が面倒見てくれるなら私は施設から脱走せず、お行儀良くしてますねw。

 

第5位

『ミセス・ノイズィ』

私は全く存じていませんでしたが、「騒音おばさん」という一時期ワイドナショーで取り出された奈良県の事件をモチーフにした作品。布団を叩く音から始まった壮絶な隣人バトル。そのバトルは周りを巻き込み思わぬ方向へと突き進んでいきます。

ずばり、脚本がお見事。序盤は主人公の小説家と隣のおばさんの置かれた環境や心情の対比。そして双方の状況が見えてきた辺りから、物語がシフトチェンジ。まさかの方向へとイッキに進んでいきます。これには完全に振り回されました。翻弄されていたのは私だけではなかったようで、度々「えっ?」という驚きや小さな悲鳴のようなものが客席から聞こえてきました。こういう映画体験が出来ると幸せを感じます。

ただ単に振り回されるのではなく、最後には真の「ノイズ」の正体は「無責任な世間」ということが見えてくるかと思います。ホント騒ぐだけ騒いで責任のなすりつけ合いだもんな。特にあの親戚のチャラチャラしたバカ男。あいつには禊が必要だ!

 

第4位

ジョジョ・ラビット』

舞台は第2次世界大戦時下のドイツ。主人公のジョジョは空想上の友達であるヒトラーと共に、立派な兵士になることを夢見ています。しかしウサギも殺せない心優しい一面を持っています。そんな彼の前にユダヤ人の少女が現れます。

戦争モノ、コメディ、ヒューマンドラマの3つのジャンルがミックスされた作品。どのジャンルにも偏り過ぎずにバランス良く語られていきます。初恋の甘酸っぱさも隠し味程度にきかせている感じが上手いですね。そもそもコメディと戦争モノの合わせ技が割と新鮮でした。こうした戦争継承の仕方もありなんだと。寧ろバイオレンスや恐怖の主張の強い作品が苦手な人に対しては打ってつけだと思いました。

それにラストが名シーン。俺も世の中が平和になったと思う日が来たら、踊るぞ。一応小学生の時ヒップホップを少々かじってたんで、舐めんじゃねーぞ(棒)。

 

第3位

さぁーここからは今年の3本「柱」。「柱」と言えば…という流行に便乗するのは止めて、見事に銅メダルを獲得した作品は・・・

 

 

『テネット』

今年、なかなかの盛り上がりを見せたと勝手に思っているクリストファー・ノーラン監督最新作。「逆行」というトリックを駆使して世界をまたにかけたスパイ大作です。

まぁー何と言っても映画の醍醐味がてんこ盛り盛りな一品です。思い付く限りのアクションシーンの逆バージョン。ホンモノのジャンボジェット機をぶっ壊すリアリティー。世界各地の絶景など視覚的に楽し過ぎます。これはスクリーンで見なきゃ勿体無いです。

視覚的のみならず、脳みそフルフル回転で挑まないとちんぷんかんぷんになるノーランらしいストーリーも健在。まず「逆行」って何だし。ゴリゴリの文系だからかもしれませんが初めて触れるワードでした。そんなものを一回観ただけで理解するなんて無理があります。でも言いたいことは割とシンプルなように思えるのがミソ。この回りくどさが良いんですよね。

そして公開時期がナイスでした。色々と公開が延期され寂しい思いを強いられている状況下で、久しぶりのビッグタイトル洋画だったことはランキング入りの要因としてかなり大きいです。

 

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第2位

惜しくも2位となった準優勝作品は・・・

 

 

『アルプススタンドのはしの方』

甲子園の1回戦。母校の応援にやって来た夢に破れた女子高生2人組。彼女たちが座るアルプススタンドの端には、同じようにやり切れない気持ちを抱えた者たちが集まっていた。

王道の青春モノなんですが、なんでしょう。世間的に見たら目立たない隅の方にいるような人たちの反撃とでも言えば良いのでしょうか。私自身、この手の作品に弱いんだなと改めて思いました。去年の1位は『エイス・グレード/世界でいちばんクールな私へ』でしたし、その時と同じようなことを書きますけど、私自身も隅の方で過ごした青春時代だったので、心の代弁と浄化をしてくれているように感じ、俄然惚れ込んでしまうといったところでしょう。

また、野球の試合をしているのに、プレイシーンが全く出てこない特殊な野球映画でもあります。ある意味野球好き、特に高校野球好き必見の作品。そうでなくても、ある程度のルールを知っていれば、野球のルールを全く知らない彼女たちの会話に思わずニヤリとしてしまうこと間違いないです。

さらに“進研ゼミ女”のくだりは、今年映画館で一番笑った気がします。あの進研ゼミのマンガのことが恋しくなったのは一瞬の気の迷いでしたがw。

 

第1位

数多くの強敵を退け王座に輝いたのは・・・

 

 

『フォードVSフェラーリ

1966年のル・マン24時間耐久レースで、王者フェラーリに挑んだ男たちを描いた胸アツドラマ。

正直に言うと、観た時点で今年の1位は決まってました。1月公開作品でしたが未だに思い出すとアツいものがこみ上げてくる他を寄せ付けない圧倒的な興奮と感動。マジで素晴らしかった。

私、初めて映画を観て悔し涙を流しました。いや、人生の内でもほとんど流したことがない涙です。「悔し涙」なんて言ったらほぼネタバレですけど、終盤の15分ぐらいはずっと目頭が熱かった。エンドロールなんてボロボロですよ。

ここまでの感情移入をさせてくれたのは、レースの結果ではなくそこに辿り着くまでに築かれていく友情が中心に描かれていたからでしょう。一匹狼同士、初めはいがみ合うようなかたちで時にはレンチを投げつけたり、殴り合ったり。でも結局「レースが大好き」という根幹の部分は一緒。その部分に触れ合うことで、心の奥で繋がる強固な友情が生まれいきます。そんな混じりけのない真っ直ぐなストーリーをベースに、細やかな演出。役者陣のパフォーマンス。アガる音楽。全ての要素が車を加速させるかの如く綺麗に連動していたからこそ凄まじい感動が味わえたんだと思います。

またレースシーンも大迫力で没入感がたまらなかった。私は今作をIMAXレーザーで観たのですが、エンジン音や低い位置から車体を撮った映像がよく映えてました。おかげで運転なんてからっきし無理なくせにハンドル操作するような仕草を膝の上でそっと行ってしまいました。これは「IMAX映え」と主張したい。今後IMAXで、いや通常上映でも良いから、もし再上映があるなら必ず駆けつける所存。なので、何処かの映画館さん、どうぞお願いします!

 

まとめ

以上悩みに悩んで選んだ10作品でした。

今年はスカッとするような娯楽大作が少なかったですが、心にズシンと来る作品が多い年でした。その点、私の中では作品が渋滞状態で選ぶのは去年より苦労しました。だって『1917/命をかけた伝令』『パラサイト/半地下の家族』ヒルビリー・エレジー/郷愁の哀歌』『ようこそ映画音響の世界へ』などを入れること出来なかったんですから口惜しい。

こうやって思い返して見ると、なんだかんだで作品に恵まれた年だったというのを締めの言葉として、一旦お開きです。後編では印象に残った俳優やアクションシーンについて語ります。

それでは、ありがとうございました。