キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第44回:2020年を映画関連のニュースで振り返る回

いやー寒くなってきた。って感じたらもう12月でした。クリスマスで街全体がキラキラし始めると2020年も終了です。

思えば一年中新型コロナウイルスばっかりでまぁーしんどかった(現在進行形ですが)。もうダイヤモンドプリンセス号をなんやかんや言っていたのが太古の昔のようですね。今じゃマスクで顔を覆って歩く(アベノマスクは人気なかったけどシャープのマスクは人気だったなぁー)のが普通となり、他人の、特に異性の口元見ちゃうと謎の緊張感を感じざる負えない時代となってしまいました。

そんな中、安部マリオのライフがゼロになったと思ったら、いつの間にか令和おじさんが国のトップとなり、アメリカ大統領選の100万分の1程度しか盛り上がらなった都知事では、数々の流行語(3密が大賞だし)を生み出した女帝が再選を遂げました。それ以外だと東京中央銀行とか賭けマージャンドルチェ&ガッバーナやら多目的トイレなんかで盛り上がった2020年。

映画界隈でも様々な話題がありました。細かいニュース含めると信じられない情報量となるので、個人的にデカかったと思う話題を偏った独自見解まみれで振り返ってみようと思います。

 

世間的には…

映画関連のニュースで最も世間的な盛り上がりを見せたのは、言うまでもないでしょう。「鬼退治」アニメ映画、鬼滅の刃の大ヒットです。まぁ「鬼退治」とか浅知恵ひけらかしてる時点でお分かりでしょうが、わたくし観ておりません。元々アニメ映画はそんなに観に行かないってのもありますし、TVシリーズと漫画もノータッチなので当然なんですけどね。

しかしビックリするぐらいの盛り上がりを見せています。国内の歴代興行収入は『タイタニック』を超えて2位だとか。YouTubeや動画配信サイトがブイブイ言ってる時代でもここまで売れるんですね。まぁ色々と特殊な要因はあると思いますし、未だに『タイタニック』が2位だったことも不思議に感じたのですが。そんな考えうる要因をつらつら書き並べるのも良いですけど、私が気になってるのは別にあります。それは、今作が「日本映画業界の救世主」的な呼ばれ方をしていることです。確かに一理ありますが、私は懐疑的なんです。だって本作を上映してない映画館って全くこの恩恵にあやかれてないですよね、たぶん。相乗効果で他作品の集客が伸びてるなんて話は聞かないし、そんなことが起きるとは考えずらいです。だから結局、映画業界全体ではなく映画業界の一部が潤っているという状態なんだと思います。

まぁファンからしてみりゃどうでも良い話でしょうから、私は「全集中」で他作品に挑もうと思ってます。

 

コロナウイルスと「映画」

はい、世間的な話題は置いといて、私個人がデカいと思ったニュースの話に入りましょう。

まずはこの話題に触れずに進むわけにはいきませんね。どの業界にも深刻なダメージを与え続けている新型コロナウイルス。映画業界にとっても苦難の年でした。

トム・ハンクスがコロナ陽性という衝撃に始まり、多くのハリウッド俳優が感染を発表。ちゃっかりハーヴェイ・ワインスタインも感染してましたねw。無論、日本の俳優界でも感染者がたくさん出たました。どの方も無症状が多かった?ようですが。

そんな「だれだれが感染した」ってニュースよりも私たちパンピー映画好きにとって直接的ダメージとなったのは、映画館の営業自粛と相次ぐ劇場公開延期でしょう。4~5月の約2ヶ月の間、映画館が閉鎖となりましたが、まさか自分が生きているうちに映画館が閉鎖となるような不遇の時代が来るとは思ってもみませんでした。私にとって映画館が日常の一部。日常を失い、途方に暮れたあの2ヶ月を生涯忘れることはでしょう。

そして閉鎖に伴い数多の作品が公開延期を発表しました。海外だと未だに再開していない映画館もあるぐらいですから、当然の如くハリウッド映画を中心とした海外作品の公開延期が相次ぎ、洋画好きにとってはひもじい状況が今尚強いられています。私なんかは例年と比べて国内の作品を観る機会が多くなりました。このことに関しては前向きに捉えられますが、やっぱり熱気ようなものが足りない一年になったのは間違いないです。

そんな中苦境に立たされた映画館、特にミニシアターを支援しようとクラウドファンディングや署名活動が展開されたのは僅かながら明るいニュースでした。クラウドファンディングに関しては、あっという間に目標金額の1億を突破し、3億円以上集まったようです。映画好きの底力をみたような気がします。いやー世の中、捨てたもんじゃないですね。

 

20世紀フォックスのロゴが消滅

コロナでごちゃごちゃになる前に遡ると一時代の終焉とも取れる個人的には悲しい事が今年の始めのほうにありました。それは、ディズニーの20世紀フォックス買収が成立したことにより、映画館であのロゴが流れてなくなってしまったことです。

この悲しみは全て下の記事にぶつけているので、是非ご覧あれ。

captaincinema.hatenablog.com 

『パラサイト』の快挙

コロナ前のニュースをもういっちょ。

Netfilxドラマ『愛の不時着』のブームやBTSグラミー賞ノミネートなど、とにかく韓国産エンタメがアツい昨今。この破竹の勢いは映画界でも証明されました。

それが今年の米国アカデミー賞。様々な作品がひしめく中、作品賞を受賞したのが韓国映画『パラサイト/半地下の家族』でした。アカデミー賞ってアメリカ国内の映画の祭典であって国際映画祭ではありません。当然アメリカ映画が作品賞を取るとばかり思っていたら、まさかの結果となりました。私、このニュースを見た時椅子から跳ね上がったことを記憶しています。ホントにビックリした。個人的には受賞そのものよりも、この受賞のおかげで近所のTSUTAYA韓国映画のコーナーが出来たことが一番嬉しかった。おかげで気になってた作品を幾つか観ることが出来ました。

また、受賞当初は“日本映画も受賞する日が来る?”みたいな謎に対抗心を燃やした記事もいくらか目に付きましたね。日本にも良い作品があるのは分かってるんですけど、その良作がしっかりと世界展開してるかどうかが肝なんだと思います。要はマーケティング。日本人の外交下手ってやつが日本の映画界にも起きているのかなぁ。

 

マッドマックス関連

先ほど触れた『愛の不時着』にはオマージュシーン。『パラサイト/半地下の家族』ではそのカメラワークとアクションで背景を語るスタイルの影響。そして来年の正月に公開の韓国ゾンビ映画『新感染半島/ファイナルステージ』の予告からも影響が伺えざるおえない傑作に動きがありました。傑作とは2015年公開の『マッド・マックス/怒りのデスロード』です。

まず話題として大きいのは、念願の地上波初放送でしょう。5年という長すぎる歳月を経てやっと実現しました。まぁーバンバンカットされてたんで、物足りなさは否めませんでしたが、これで多くの日本国民が奇抜で独創的な世界観と相まみえることになったので目標クリアです。(視聴率どれぐらいだったんだろうか)

私の場合は、DVDを所有し映画館でも何十回と観ていながら日本語吹き替えで観るのは初めの経験となりました。感想としては案外悪くなかったですね。イモ―タン・ジョーの吹き替えがガラガラ声過ぎてちょっと聞こえずらかったですが、元々セリフの少ない映画なんで違和感なく楽しめました。

今作にはブラック&クローム版がありまして、そのバージョンならレーティングが下がるという謎映画なので、今度はノーカットで流して欲しいですねぇー。そうすれば布教完了なので。

そしてスピンオフの企画が本格的に始動したのも今年でした。

eiga.com

現在Netfilxで配信中の『クイーンズ・ギャンビット』でブレイク中のアニヤ・テイラー=ジョイが主演を務め、イケメンマッチョの代表格としての地位を築き上げているクリス・ヘムズワースの出演も決まっています。出来ればシャーリーズ・セロン演じるフュリオサを観たいところですが、クレイジーで最高な作品が出来るのは間違いないので心待ちにしています。いやーこれ観るまでは誠実且つ健康的な日々を過ごさなくては。

そして、嬉しいニュースばかりではなく非常に悲しいニュースもありました。

natalie.mu

73歳は早いっす(泣)。スピンオフ作品にも特別出演的な感じで出るんじゃないかと思っていたのに…。

ともあれ、イモータンジョーというカリスマ性がほとばしる映画史に残る最高の悪役を見せてくれたこと。そして記念すべき1作目では、トーカッターという荒々しい暴走族のドンを演じた俳優として讃えるべき方です。

きっと今頃ヴァルハラで神格化されていることでしょう。ヒュー・キース=バーンは永遠です。

 

雑誌『映画秘宝』の休刊とスピード復活

そんな『マッド・マックス/怒りのデスロード』への愛があふれる映画雑誌映画秘宝のニュースも忘れてはいけません。

book.asahi.com

他の雑誌であれば新作映画を表紙に載せるが普通なのに、復活号の表紙が過去に公開された作品、そして「マッドマックス」という決して万人受けはしないであろう作品をトップにするなんて唯一無二の雑誌です。この雑誌読んでると、ネットじゃ手に入らないような情報もあるので大変勉強になります。また褒めてるんだか、貶してんだか分からないけど、映画への愛はひしひしと伝わってくる絶妙な文章表現もクセになります。

こんなに褒めちぎってますが…正直に言います。休刊のニュースが入るまでは、ぶっちゃけ本屋で立ち読みするだけで購入はしていませんでした。大事なものはなくなってから気づくって言いますからね。せっかくスピード復活を遂げたことですし、立ち読みで済ますというケチなことせず、これからは買います!

 

『テネット』公開によるノーラン祭り

再出発を果たした映画秘宝さん。この映画監督のことはあんまり好きじゃないのかなぁーっと思っていたら10月号で大きく取り上げていました。その監督とはクリストファー・ノーラン。コロナ渦にもかかわらず超強気の劇場公開に踏み切った巻き戻しスパイ映画『テネット』。その公開を記念して多くのノーラン作品が映画館でリバイバル上映されました。

勝手な思い込みだったら申し訳ないですが、映画好きの界隈じゃ『鬼滅の刃』よりも盛り上がったのではないでしょうか。何しろ『ダークナイト』や『インターステラー』、『プレステージ』などこんなに短期間で同じ監督の作品が映画館に集まるなんて異例中の異例。これはコロナの影響で公開作品が減ったことも要因の一つなので、この点に関してだけはコロナに感謝ですかね。いや、医療従事者や亡くなった人に失礼だわ、大変申し訳ない。

で、肝心の『テネット』もかなりの盛り上がりを見せていた気がしてます。途中から来場者特典配ってましたし。またTwitterを覗いていると20回以上観に行っているという強者も散見。私は2回行きましたしノーランファンを自負してはいますが、上には上が沢山いました。その行動力と気力、少し分けて欲しいよ、マジで。

↓『テネット』について私の感想はこちら

captaincinema.hatenablog.com

 

映画祭に変化の兆候

『テネット』がこれから本格化する賞レースにどう絡んでくるか気になる人も多いかもしれません。その映画祭のルールに変化が見られたのも今年のニュースでしょう。

まずはベルリン国際映画祭。男女別最優秀俳優賞が来年から撤廃され、代わりに最優秀主演賞と最優秀助演賞が設けられるそうです。性別で区別をしないのが目的なんだそうです。より競争率が激しくなり、レベルがあがりそうな気がします。

また米国アカデミー賞も新たな基準が2024年からスタートするようです。

www.huffingtonpost.jp

これで見ると、めちゃめちゃ条件あるなって素人からすると思えますね。「白すぎるオスカー」なんて揶揄されることに対する策なのでしょう。無理やりこの条件をクリアしようとする作品が出ないことを願ってやみません。

 

配信サービスの在り方とは?

最後は個人的ビックニュース。それはNetfilxに加入したことです。

実はですね。私は基本的に映画は映画館で観る娯楽であるというスタンスなので、動画配信サービスに関してはやや否定的な立場ではあるんです。そんな私がなぜNetfilxに加入したのか。それはコロナのせいで公開される作品が減った(でも映画館に行ってる回数はそんなに変わってないけど)こともありますが、私自身の考え方に少し変化があったことが大きな要因でした。

Netfilxが日本でサービスをスタートした(確か2015年?)当初、映画館好きの私は敵対心丸出しでした。だって独自で製作した映画は劇場で一切流さないと言ってましたから。しかし年を重ねるごとに軟化していきました。日本では2019年の初めに『ROMA/ローマ』の劇場公開を行ってからでしょうか。それ以降、一部ではありますが劇場公開をする作品が幾つか登場し始めます。今年も『シカゴ7裁判』や『ヒルビリー・エレジー/郷愁の哀歌』、『MANK/マンク』などが劇場で公開をされました。何があったかは知りませんが、方針を変えたということでしょう。

またこの記事を読んだことも、考え方の変わるきっかけでした。

www.businessinsider.jp

近年、劇場公開する作品の画一化傾向が見られ始めたということを言っているんだと思います。勿論MarvelやSWのような作品も好きです、寧ろ大好きです。しかし、どれもこれも何らかの人気作の続編やリメイク、さらにはゲームや漫画の実写化が映画館で目立つのは否めず、オリジナルコンテンツが日の目を見ないことが頷けます。大手映画会社が「売れそうなコンテンツ」ばかりを製作し、ネタが似たり寄ったりする中、Netfilxの手掛けているジャンルの豊富さは、今の映画製作関係の企業じゃどこにも負けないぐらいのレベルかと思います。そりゃ映画が好きなら”映画館!“と意地張ってても仕方ないので、観るしかないですよ。

そんな映画館との関係作りや画一化させないジャンルの多様性とは逆行した方向へと向かっているのが「Disney+」。日本でサービスがスタートしたのは今年に入ってからですよね。元々劇場公開する予定だった作品を配信限定にしたり、独自で所有しているコンテンツの世界観を広げることばっかりで、新たなコンテンツを生み出しているとはあまり感じられません。新たなコンテンツを生み出すプラットフォームとして20世紀FOXを買収したのかもしれないと思ってしまうぐらいです。まぁ画一化するコンテンツに関してはもう良いので、はよ延期してる作品の劇場公開決めてくれ!ワーナーを見習えー!

あっちなみにNetfilxに加入し始めて観たのは『呪怨/呪いの家』ってドラマでした。面白過ぎてイッキ見しましたね。映画はクリヘム無双が楽しめる『タイラー・レイク/命の奪還』でした。続編あるらしいので期待してまーす。

 

最後に

他にも黒沢清監督がベネツィア国際映画祭で銀熊賞を獲得したり、チャドウィック・ボーズマンとの突然の別れも大きなニュースでした。ホントに色々あった。

色々あるのは2021年も同様でしょう。東京オリンピックはさておき(ホントに出来るのかなぁー)ダニエル・クレイグ最後のジェームズボンド『007/ノータイムトゥダイ』やトム・クルーズがひたすら格好良いであろう『トップガン』の続編。『ブラックウィドウ』に『ウエストサイド物語』&『DUNE/砂の惑星』のリメイクなど怒涛の如くビックタイトルがなだれ込んでくる予定となっています。

上手く公開してくれれば、えげつない程アツい年になりそうなので「コロナくたばれ!」と願いながら年を越そうと思います。あっその前に今年観に行った映画の総括をせねば!

はい、ということでこの辺でお開きです。長くなりました。ありがとうございました。

第43回:映画『ザ・ハント』の感想と考察 富裕層vs庶民の仁義なき戦い

前回、今週のお題で「最近見た映画」を扱った際、っと言っても2週間ぐらい前ですが、最後に『ザ・ハント』という映画を観に行くことを書いていたので、せっかくなので今作について語ります。

f:id:captaincinema:20201109111543j:plain

 

 

イントロダクション

目を覚ますとだだっ広い広場に大きな一つの箱。中には大量の武器と子豚が一匹。戸惑う12人の男女は各々武器を手にすると、それは富裕層が庶民をハントする「マナーゲーム」と呼ばれる殺人ゲーム開始の合図だった。

今回のアメリカ大統領選でも露わとなった2極化するアメリカ社会を痛烈に皮肉しているなどが理由で、一時は全米で公開中止になったらしいですね。っていうかこの時期に日本公開ってなかなかタイムリーなことやってくれます。

製作は『パージ』や『ゲット・アウト』などを手掛けてきたブラムハウスプロダクション。ホント物議を醸しそうなネタの作品を連発する製作会社です。

 

めくるめくバイオレンス街道

やはり今作の一番の特徴は痛烈なバイオレンスアクション。とにかく人体破壊パレードが序盤から炸裂します。ヒールで目ん玉ブッ潰しや串刺し、爆破による木端微塵などやりたい放題。隣に座っていた女性陣二人組なんて、そんなシーンで出てくるたんびにビクビクしてましたね。特に中盤辺りのズボンの中に手榴弾は悲劇。手榴弾を突っ込んだ男が「サヨナラ」と、まかさの日本語でキメ台詞を吐くのも不謹慎ながら笑ってしまいました。

たたでさえ洋画の公開が少なくなっているので、この手の作品は大変貴重だなと思いながら観ていました。

 

「差別はダメだ」と言う人が行う「差別」

ただグロいだでじゃない。今作のポイントは、やはり「狩る」側の人々の境遇です。彼らはいわゆる「リベラルエリート」と呼ばれる人たち。学はあるし、経済的な不自由もしていない勝ち組の方々。そんな人たちがなぜ殺人ゲームなんてやっているのか。

根本的な理由(これまた如何にも現代っぽいんだなw)は言わないでおきますが、要因の一つとしてあったのが、貧しい暮らしを送る白人層や環境問題を否定したりマイノリティやジェンダーのへの認識が低いような人々に対する差別的感情を抱いていたことがあったのです。それは「差別はダメだ!」と声を上げる人々が、差別主義者を差別するという連鎖が起きているということを示唆しているように感じました。

要するに「暴力」が「暴力」を生むのと同じで、「差別」が「差別」を生むのかもしれません。人間に感情や社会性がある限り暴力や差別は、残念ながら根絶やしにすることは出来ないのでしょう。「根絶」を目指すより「軽減」を目指すことが建設的なのかもしれないなんて、だいぶ作品とはかけ離れたことも考えてしまいました。

 

まとめ

 以上が感想と考察です。イントロダクションでも触れましたが、大統領選挙で一段と分断するアメリカ社会が見えた今のタイミングに公開なんて狙ってたんじゃないかと思ってしまうぐらいでした。

一応はバイデンさんの勝利ということですが、法廷闘争に縺れる見込みですし、分断が解消されたわけではありません。「右翼」と「左翼」といったように決して他人事ではないこの日本で今後の動向を伺いながら、この風潮を映画から感じ取ってみるのも悪くないと思います。

それでは、この辺でお開きです。ありがとうございました。

第42回:「最近見た映画」なるお題に挑む

今週のお題「最近見た映画」

なるほど、なるほど。これは応募せざる負えない。

毎度映画について長々と書いているブログなので最近どころが毎日のように映画を観ているわけですが、さらっとやや雑に書いてみようと思います。

「最近」ということなので、ここ2日で2つの作品を観たのでそれについて書きます。

 

1本目

昨日の夜ですね。シルベスター・スタローン主演のコブラ』(1986年公開)という映画を観ました。“無差別殺人をして新世界を創るんだ!”と主張するカルト教団に狙われたモデルさんを護衛しながら、犯人を追う刑事を描いたアクション映画。

高校生ぐらいの時、スタローンが車の荷台で変な形のマシンガンを撃ちまくってるシーンだけ見たことあったのですが、全編を鑑賞するのは初めてでした。当時そのシーンを見た時は純粋にカッコいいと思って観てました。しかし、大人になった私にはちょっとコメディに受け止めてしまいました。

いや、勿論スタローンはカッコいいですよ。アクションシーンの見ごたえは充分です。ただ細かいシーンがシュールで笑えるのです。冷蔵庫にしまったまま放置されていたであろう、冷え切ったピザをハサミでちょん切って食ってるシーンや犯人の似顔絵があまりに酷いレベルなどツッコミたくなる箇所が沢山。間違いなくウケ狙ってるよな。

そんなバカっぽいけどカッコいい男の子が大好きそうなネタ。『コマンドー』と同じような楽しみ方が出来る映画でした。

 

2本目

はい、そして本日は『ビリーブ/未来への大逆転』(2018年公開)。アメリカの最高判事を務めたルース・ベイダー・ギンズバーグさんの半生を描いた作品。先日彼女がお亡くなりになったことで再脚光を浴びているのでしょう。丁度見よう思っていた時期にこの訃報のニュースがあり、TSUTAYAに行っても貸出中のまま。そんな時にNetfilxで配信スタートとなったので、やっと観られました。

「女性は法律という檻に」みたいな言葉がありましたが、大袈裟な言い方では決してないように感じました。「女性」という理由だけで就職試験に落とされたり、クレジットカードを発行するには夫の名義が必要だったりと“独身女性、生きていけないじゃん“と言いたくなる有様。でもこれが数十年前まで実在したわけですから恐ろしい話です。

そんなシステムにガンと闘病中の夫と2人の子供と共に戦いを挑むギンズバーグ。こうしたエネルギッシュで「おやっ?」と思うことにファイティンポーズをとれる人が世の中を良くするんだなぁと感じました。

近頃見た『シカゴ7裁判』ほどの爽快感はありませんでしたが、満足出来る一本でした。

 

まとめ

以上、最近見た映画についてばばばっと書きました。

明日は『ザ・ハント』という映画館で観て来ます。気が向いたら今作の感想や考察を書いてみましょう。

ということで、この辺でお開きです。ありがとうございました。

 

第41回:映画『マッド・マックス/怒りのデスロード』登場キャラクター総選挙

お久しぶりです。最近、仕事でパソコンをポチポチして資料作成することが多かったため、家でタイピングする気力が起きなくてご無沙汰になってしまいました。

そんな中、ちょっと前ですが大変嬉しいニュースがありました。それがこちら。

eiga.com

ついに、ついに待ちわびていた『マッド・マックス/怒りのデスロード』(2015年公開)のスピンオフが本格的に動き出しました。キャストは一掃ということみたいですが、きっと、いや間違いなく新たな超絶エネルギッシュなアクション映画を生み出してくることでしょう。

そんな大変喜ばしい動向を記念して『マッド・マックス/怒りのデスロード』のキャラクター総選挙を一人で開催したいと思います。一回マジでやってみたかった。今回は何十回と鑑賞した私の独断で好きな登場キャラクタを10人挙げていきたいと思います。

もうお分かりかと思いますが、これは一度も鑑賞したことがない人にとっては意味不明な企画です。一回しか観ていない人も分からないかも。そんな優しさが全くないオタクのバカ騒ぎを温かい目でお楽しみ下さい。

f:id:captaincinema:20201028210759j:image

 

captaincinema.hatenablog.com

↑ 作品自体の言及についてはこちら。

 

 

10位

フュリオサを刺した男

はい、いきなりモブキャラの登場です。いや、多分何度も鑑賞経験のある人ならモブだとは感じないはず。

彼の登場シーンは後半。棒を使って車から車へと飛び移る棒飛び隊の一人です。こいつが、まぁーしぶとい。まず飛び移ってから主人公の仲間の一人を殴り倒し、その後マックスの左手にクロスボウを浴びせます。その後、運転席へ乗り込もうとするもフュリオサにナイフで刺され脱落…っと思いきやここで終わらなたっか。刺されたナイフで倍返し。フュリオサの脇腹をブスッ!です。直後、種ばあさんから弾丸を目ん玉にお見舞いされて退場しました。

主要キャラクター2人に怪我を負わせるという戦績。そして、一度やられてもやり返すその屈強な精神力によりランクイン入りです。英雄の館に送られるべき魂はきっと彼みたいな戦士だと思います。

 

9位

マックス

f:id:captaincinema:20201028210457j:image

まさかの主人公が9位というケツから2番目の結果に。

この映画の唯一欠点を挙げるとしたら、登場キャラクター各々の個性が強すぎて主役が薄いということでしょう。ハンドガンは自在に操れますが、遠距離スナイパーはやや不得意のご様子のサムズアップの名人。見た目は野性味丸出しの熊のような雰囲気を醸したマックスでした。

この今作のトム・ハーディ版マックスと前3部作シリーズのメル・ギブソン版マックスですけど、同じキャラクターなのに演じる俳優で全然違う味わいになるんですよね。メル・ギブソン版も野性味溢れる感じではあるのですが、その下に隠れた色気が時々香ってくる、そんなキャラクターだと思います。メル・ギブソン版の方が好きだ!と言う方々は、この魅力に惹きつけられているのかもしれませんね。

 

8位

モーゾフ

彼もモブキャラですが、作中で最も早く「Witness Me」をキメた名誉ある戦士です。

序盤のヤマアラシとの戦闘シーン。敵の車に銛をぶち込み、屋根を引っぺがして大喜びするモーゾフ。しかしその直後にボーガンで撃たれます。顔と首に矢が刺ささり意識が朦朧とする中、銀のスプレーをシュー。そして「Witness Me~!」と叫びながら、爆弾の付いた槍を両手に敵の車にダイブ。このダイブした時の綺麗な姿勢。飛び込み選手もビックリなフォームでした。

初見時は、スプレーをやりだした辺りから“えっ?”っと啞然としたのを覚えてます。不意を突かれた玉砕戦術は、イモ―タン・ジョーの配下の戦士たちが持つ狂信的なタフさを一発で感じることが出来ました。

またモーゾフ玉砕後、部隊の副官 エースの死を称えるポーズが最高に格好良かったことも加点対象となったのは間違いないです。

 

7位

ドゥーフ・ウォリアー

f:id:captaincinema:20201028210645j:image

一度目にしたらきっと忘れることは出来ないであろう炎吹くギターを弾く戦士。セリフのあるキャラクターではなく、どちらかと言えばモブキャラなんです。しかし、どんなに車が激しく揺れようとも、敵と取っ組み合いになってもギターを弾き続けるというそのギター愛が凄いのです。

ちなみに「どうしてギターから炎が出るのか?」という問いに対して、監督さん「ギターを弾きながら戦えるから」と答えたそうですよ。その単純さ、好き。ロック様がマネしたくなる気持ちも分かります。

f:id:captaincinema:20201028210704j:image

 ↑本家より100倍強そう

 

6位

ケイパブル

マッドマックス界の大奥とも言える「ワイブス」のナンバー2。赤毛が特徴的な心優し女性です。なんせその優しさで、狂信的だった兵士を一人仲間に取り込んでしまったわけですから良い働きをしたものです。

そして、終盤の感動的なシーンは忘れられない。仲間に取り込んだ元ジョー様の信者との別れのシーン。少しの恋心も芽生えいたのでしょう。離れてゆく彼に伸ばしたあの手が切ない。しかもガッツリと伸ばすのではなく、僅かばかりといったのがまた涙を誘います。しかし、そんな感動を直後にぶっ壊しにかかるのは、マッドマックスらしさでもあるかと。

とにかく「ワイブス」は他に4人いますが、一番魅力な人物だと思います。

 

5位

リクタス

f:id:captaincinema:20201028211422j:image

筋肉バカの称号に相応しい男。その反面、子供っぽさがちらくつマスコットキャラクター的な働きをするマッドマックス界のアイドルでもあるのです。

先ほど言及した終盤の感動的なシーンで自らの名前の高らかに叫び、そのシーンのぶっ壊しにかかるKYっぷりも最高なのですが、彼の名シーンって実は序盤にあったんです。

まるで人を家畜のように扱い母乳を搾取しているシーンがあるのですが、この母乳を味見するリクタスの“ウマウマ”という顔。ちょっと可愛い。ちょいと前に流行った「おじキュン」に近いものがあるの気がしますね。こんなゴリマッチョでも美味しいもの(母乳が美味しいかは微妙な疑問ですがw)を口にするといい顔するのは同じ人間だなと思います。

 

4位

ニュークス

f:id:captaincinema:20201028211617j:image

いいとこ見せようと頑張る青年。地味に人気のあるキャラクターだと思います。何をしようとしても上手くいかずに失敗ばかりで自己嫌悪になってしまう彼ですが、ドライビングテクニックだけは確かな実力があります。

序盤のヤマアラシとフュリオサ率いる部隊の戦闘では、追撃するジョー様の部隊の中で一番槍で現場に到着。奮闘の最中、敵からのタックルを受け前輪が片方パンクしてしまいますが、持ち前の加速力とハンドリングを活かして追撃の手を止めませんでした。これは誇るべき。

また、生まれてこのかた「緑」を目にしたことがなかったのでしょう。「木」を「でっぱり」と呼んでしまうシーンが好きです。よく考えて少し可哀そうな気持ちになってしまいますが、こうした細かい演出はキャラクターに深みを与えています。あとは、日本語訳がナイス。

 

3位

武器将軍

銅メダルはなんと武器将軍。銃器や弾薬などを掌握し、権力を握っています。とにかく全身に弾丸ぶら下げまくり。差し歯まで弾丸という徹底ぶりです。そんな彼には名シーン、いや本作きっての名シーンがあるのす。

中盤、爆破と泥道で立ち往生するジョー様一向。そんな中でも、キャタピラカーという強みを生かし、単騎でマックスたちを追う武器将軍。バレルが超長いリボルバーを撃ちながら進撃。「ジョー様の女に当たりまっせ」という部下の忠告に聞く耳を傾ける気配はありません。そんなことをしていると、車のライトをフュリオサが狙撃されライトの硝子片で失明をしてしまうのです。盲目となった武器将軍…本領発揮です。“俺は死の歌の指揮者、歌えー!歌えー!血祭りじゃー!”といった中二病っぽい言葉を発狂しながら、銃を乱射。勿論目は見えていないので数撃ゃ当たるの精神です。このシーンの音楽と将軍の映し方が最高に格好良い。どうしてこんな中ボスみたいな奴までもクレイジーで格好良く撮っていまうのでしょう。どんなに登場シーンの少ないキャラクターにもちゃんと花を添える心意気が最高です。残念ながら一矢報いることなくマックスに爆殺されてしまうわけですが、彼の雄姿を忘れることはないでしょう。

 

2位

ジョー様

f:id:captaincinema:20201028210836j:image

どうしても「様」を付けずには呼べないボスキャラ。惜しくも銀メダルです。

まずマクがイカす。まだまだマスクを外して外出できるような世の中にはならないからこそ憧れてしまうマスク。両サイドのファンが付いているらしく、常に綺麗な空気が吸えるのでウイルス対策が万全の代物です。

「水」という資源の掌握と巧みな演説スキル。そして自らを不死身の神と位置付けて人々をコントロールする彼は、人(とくに女性)の自由を奪うような最悪な野郎ですが、決して嫌いにはなれないのが不思議な点。悪い奴なのに嫌いになれないのはカリスマ的魅力があるからで、これは『スターウォーズ』シリーズのダース・ベイダーバットマンの宿敵、ジョーカーなどと共通する部分でしょう。まぁ私自身が、ウォーボーイズのようになっているのが原因かもしれませんがw。

 

1位

フュリオサ

f:id:captaincinema:20201028210826j:image

「赤信号は渡っちゃダメ」と同等ぐらい当たり前なので説明不要!とにかく観て、酔いしれろ!

 

まとめ

はい、こんな感じです。いやー楽しかった。やっぱり自分の書きたいこと書くのが一番ですね。

ちなみにこの映画、本日ハロウィンにも打ってつけだと思うのです。例えば、

奇抜な格好のキャラクターばかりが登場するハゲと白塗りの仮装パーティー

水やガソリンといった資源はTrick or Treat」なノリ

いつだかの渋谷のバカ騒ぎで軽トラが横転するなんて比じゃないぐらいバンバン車がぶっ壊れる砂漠の狂騒劇

こんなに共通項があるんですよ。今年は自粛ムードのハロウィンなんで、家で『マッド・マックス怒りのデスロード』を観るのをおススメしときましょう。「HappyHalloween!」ではなく「LovelyDay!」と叫ぶことになりますが。

ということで、この辺でお開きです。ありがとうございました。

 

 

第40回:クリストファー・ノーラン作品が好きならドゥニ・ヴィルヌーヴ作品も好きなんじゃないか説を提唱

いやー、盛り上がってますね『テネット』。公開から1ヶ月経ちましたが、なかなか盛況なようです。

natalie.mu

上の記事によると、国内での売り上げが好調なことを記念して特典を配布することになったようです。今までのノーラン作品でこんな特典配布するとかやってましたっけ?そもそも、洋画でこうしたキャンペーンを行うこと自体大変珍しいと思います。残念ながら最大の映画市場であるアメリカではコケてるみたいですが(状況が状況だからね)、しばらく息の長い作品になりそうです。

そんなクリストファー・ノーラン監督の作品がお好きな方は多いと思います。そして恐らくその方は、こちらの監督さんの作品も好きだったりするんじゃないでしょうか。その方はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。プリズナーズ』(2013年公開)ブレードランナー2049』(2017年公開)を手掛けたカナダ出身の監督。今年公開するはずだった監督作デューン砂の惑星が来年にまで公開延期となってしまったことで最近ニュースになってました。このドゥニ・ヴィルヌーヴですけど、個人的に好きだってことはあるんですが、ノーランと似ている点が結構あることに気付きました。

今回はそんなクリストファー・ノーランドゥニ・ヴィルヌーヴ両監督の弱冠こじ付け気味な共通点を挙げていこうと思います。

 

f:id:captaincinema:20201015212634p:image

左がドゥニ・ヴィルヌーブ、右がクリストファー・ノーラン

 

 

 

年齢が同じぐらい

まずは年齢。クリストファー・ノーランは1970年7月30日生まれの50歳。ドゥニ・ヴィルヌーヴは1967年10月3日生まれの53歳。

年の差は3歳です。3年でも違えばジェネレーションギャップが少々発生しそうですが、50代の前半なので子供の頃に好きになった映画なんかも似たりよったりになる気がします。

 

サスペンス/ミステリーで頭角を現しSFへ

どちらの監督もキャリアの積み方が似ているのも特徴です。ノーランはインセプション』(2010年公開)インターステラー』(2014年公開)。ドゥニは『メッセージ』(2016年公開)や『ブレードランナー2049』(2017年公開)といったSF作品がここ最近目立ちます。根っからのSF監督かと思いきや、キャリアのスタートはミステリー/サスペンス映画からなんですね。

まず、クリストファー・ノーランが初めて手掛けたのは『フォロイング』(1998年公開)という白黒作品。小説家志望の主人公は、小説のネタ集めとして人を尾行することを日課に行っている。そんなある日、尾行対象だった一人の男に気付かれ、ある仕事を手伝うように言われる。しかし、これが結構ヤバい仕事だったというストーリー。

週末に映画仲間と一緒に製作するという低予算な体制ながら、時間を巧みに使ったトリックは見事。白黒の映像もなかなか味があって良いです。その後は10分しか記憶の持たない主人公が妻殺しの犯人を追う『メメント』(2000年公開)や白夜の街で17歳の少女を殺した犯人を追うインソムニア』(2002年公開)と立て続けにサスペンス映画を手掛けていきます。

そしてドゥニ・ヴィルヌーヴの長編デビューは2000年公開『渦』という作品。ある夜に車で人をはねてしまった主人公。轢き逃げにも関われず、なぜかその事件は発覚していないことに、徐々に不安になってく姿を描いているようです。こちら作品はまだ観た事ないんですよ。そもそも日本で見る手段あるのかな。アカデミー外国映画賞にノミネートされた作品ですし、何らかの方法があると思うんだけど。

またその後に手掛けた静かなる叫び』(2009年公開)『灼熱の魂』(2011年公開)もヒューマンミステリーでした。

まぁミステリーやサスペンスで作家性を確立させてから大作ものへとシフトチェンジという道筋は、他の監督さんにも多いタイプな気がしているのでそこまで珍しいことではないのかもしれませんが。

 

ファン層の地盤が固いコンテンツに挑む

この挑戦的姿勢も共通項だと思います。

ノーランは、なんと言ってもダークナイト」シリーズと呼ばれるバットマン3部作。あの「バットマン」という人気コミックヒーローです。映像化も幾度となくされてきたキャラクターで既にファンの多い作品を、今まで映画だと比較的ポップな感じで描かれてきた作風から一転してリアリティーのあるダークな作品に様変わりさせていまいました。“原作に忠実じゃない”という批判もあるようですが、この世界観を構築したことで後のアメコミヒーロー映画の多様性、もっと言えば「大人が楽しむアメコミ映画」を確立させたことに間違いないと思います。

そしてドゥニは『ブレードランナー』(1982年公開)というカルト映画の代表格といっても過言ではないSF映画の続編を手掛けたことでした。私自身も続編の話が出た時は、正直驚きましたよ。原作である『アンドロイドは電気羊の夢は見るか』に続編は存在しないので、100%オリジナルで物語が作られることになるので大丈夫なのかと。しかし、いざ蓋を開けてみたら素晴らし作品でした。勿論“これは続編なんかじゃない”と否定的な意見を持つ人たちも多く賛否両論のようですが、SF作品として視覚的にも物語としても充分な出来栄えだったと私は思います。

このように、あえて賛否両論となるのが当然の企画を引き受けてしまうのですから、映画監督としてのガッツに脱帽してしまいます。

 

映像の質感

映像に関しては個人的嗜好が強くなっちゃいますが、両監督の作品の映像の特徴はシックで神秘的。また色彩に統一感があり画面がうるさくありません。さらに、だだっ広い映像の中央に対象物がポツンとあるような映像もありがちな印象です。こうした映像は、映画館で見るから一層美しく見えると思います。だからこそ両監督の作品を映画館で見ないのは、正直勿体無いと思うのです。

 

携帯電話禁止

eiga.com

上の記事のタイトルにもありますが、ノーランの撮影現場は携帯電話の持ち込みが禁止みたいです。ノーランさんはプライベートでも携帯電話を持たないという徹底ぶり。メールアドレスすら持ってないようなので、SNSエゴサーチなんてへったくれも無いですね。今時持ってないと相当不便しそうな気がしますが、なんでしょう。そういった俗っぽいものから解脱している雰囲気を感じます。変人か天才か、微妙なとこですw

そして記事内ではヒュー・ジャックマン曰く、ドゥニが手掛けたプリズナーズ』(2013年公開)の撮影現場でも携帯電話は禁止だったようです。さすがにドゥニさんは携帯電話持ってるようですよ。スマホの中に『シンレッドライン』という映画をダウンロードしているんだとか。とにかく両監督共に撮影現場では役に集中して欲しいという意図があるのかもしれません。

 

まとめ

いかかでしょうか。我ながら書いていると“共通点多いなぁー”と思ってしまっている次第です。他にもありそうな気がしますが、とりあえず来年の公開の『デューン砂の惑星』を心待ちに、3度目の『テネット』を観に行くか悩むことにします。限定カードはもう厳しいかなぁー。

それでは、この辺でお開きです。ありがとうございました。

 

参考:

・『灼熱の魂』公式パンプレット 2011年12月17日発行

・『FLIX SPECIAL 大特集「ブレードランナー2049」このカルトSF映画を観よ!』

 2017年11月1日発行 ビジネス社

・『映画秘宝 10月号』 2020年8月21日発行 双葉社

第39回:映画『テネット』の感想と考察 ニールのあるセリフから見えてくること

さぁーついに全世界お待ちかねの『テネット』が公開しました。ホントに待ってました。クリストファー・ノーラン監督の新作ということはもちろん、久々のハリウッド大作ですからね。こちらの気持ち入りようも一段と強くなります。

そんな今作は、なんとも難解。難解っていうか意味不明。むしろ「分からない」に溺れていたほうが気持ちが良いという変な印象。今回は、そんな激ムズ迷路のような作品を2回鑑賞した時点で何とか辿り着いた独自解釈を披露していきます。

 

f:id:captaincinema:20200926222148j:image

 

 

↓過去に扱ったノーラン作品はこちら。

captaincinema.hatenablog.com

captaincinema.hatenablog.com

captaincinema.hatenablog.com

 

イントロダクション

 

www.youtube.com

最後の「時は来た」っていいですね。気合い充分です。

メメント』(2000年公開)や『インターステラー』(2014年公開)などで自由自在に「時間」を操ってきたクリストファー・ノーラン監督の最新作は、またまた時間をテーマにした作品でした。今回の時間が逆行します。

キエフのオペラ劇場で発生したテロの作戦時、敵に捕まった主人公の男(ジョン・デイビット・ワシントン)は自ら服毒をし自決を図ります。しかし毒は偽物で、ある組織の入団テストであったことが判明。この謎の組織「テネット」から与えられたミッションは、時間を逆行させることによって第3次世界大戦以上に恐ろしい世界滅亡を企む連中を阻止することだったのです。

ノーラン作品といえば豪華な出演メンバーが見どころ。今回はベテランやノーランのいつものメンツというより、今後活躍の場をより一層広めていきそうな中堅・若手クラスが多く出演していたような気がしてます。

主人公を演じるのは、ジョン・デイビット・ワシントン。名優デンゼル・ワシントンを父に持ち、俳優として活動する前はアメフト選手として活躍していたという異色の経歴を持つ方。去年日本で公開された『ブラック・クランズマン』では、アフロヘアの潜入捜査官を演じて注目を浴びた俳優としも記憶に新しいです。

主人公の相棒ニールを演じるのは『トワイライト』シリーズや『グッド・タイム』(2017年公開)のロバート・パティンソン。次のバットマン(2021年公開予定)を演じる今大注目の方。ちょっと前には新型コロナに罹ったことでも話題に。既に回復されてますが後遺症とか大丈夫なのかなぁ。

そして個人的に一番嬉しかったのは、アーロン・テイラー=ジョンソンが出ていたこと。主人公たちの仲間でゴリゴリ軍人として登場。『キック・アス』(2010年公開)のひょろいオタクヒーローはどこ吹く風か。『ノクターナル・アニマルズ』(2016年公開)の時点でひげもじゃのイカつい奴だったけど、より仕上げてきた感じ。軍服がお似合いです。

その他『コードネームU.N.C.L.E』(2015年公開)のエリザベス・デビッキ(この女優さん、とにかく長い!)や『イエスタデイ』(2019年公開)のヒメーシュ・パテル(髭がスゴイ)が出演。いつものメンバーはケネス・ブラナーマイケル・ケインぐらいなので、フレッシュさのあるライナップといったところでしょう。

 

監督の「やりたい!」が炸裂?

1回目に鑑賞した率直な感想として思い浮かんだのは、“あぁーこういう映像が撮りたかったんだなぁー”ということでした。まぁストーリーの理解が追い付いていなかったからかもしれませんが。

まず私が想像するに、ノーランさんはきっと最初にこんなことを思ったんでしょう。

逆再生でアクション撮ったらめっちゃイカすんじゃね!

こんなに口は悪くないでしょうけど、視覚的に新しいものが撮れるという自信はあったと察します。このアイディアをいかにして現実的な映画の目玉にするのかを考えたうえで、エントロピーやら放射能がどうとかお得の物理学を用いて肉付けしたんだと思います。結果として、格闘・カーチェイス・銃撃といったアクション映画の見せ場の逆再生バージョンを網羅。また時間の逆行を使ったわけではありませんが、逆バンジーなるアクションまでやっちゃってます。そんなてんこモリモリな状態なので、アクション映画好きにとっては楽しいシーンのオンパレードです。

あっちょっと話は逸れますが、今作を観ていて子供の頃にビデオやDVDを1.5倍速ぐらいで早送りしたり巻き戻したりするとセリフや人の動作が変に見えて、それがちょっと面白かったことを思い出しましたね。ノーランの少年時代も同じだったりして~w。

そしてもう一つやりたかったのは、バディームービーではないでしょうか。時空超えた家族や恋人の絆に関しては『インターステラー』で描いていたので、今回は時空や空間を超越したバディの絆を描きたかったんだと思いました。このバディに関しては、ニール君の視点がかなり重要だと考えているので、次の章でネタバレ込みで話していきます。

 

ニールの立場から見えてくるもの

ではまず、主人公たちが防ごうとしている第3次世界大戦以上に恐ろしい世界滅亡計画を具体的に説明します。

未来で作られたという変な形のブロック「アルゴリズム」がありまして、これを核爆発によって破壊すると地球上の時間が逆行し、世界がぶっ壊れるんだそうです。それを余命わずかなロシア系武器商人セイタ―(ケネス・ブラナー)が、“俺の命が終わるんだから一緒に世界も終われ!”みたいなスーパー自己中な理由で、シベリアのある場所で爆破しようとしていたのです。クソ迷惑な話ですが、実はこの爆発は冒頭のキエフで起きたテロと同じ14日に起きたことが中盤あたりで判明しているのです。つまりキエフのテロをきっかけに物語がスタートしているので、アルゴリズムの爆破自体は防いでいることを意味しています。メビウスの輪のようにループをしてるんですね。「俺たちが生きてるってことは、滅亡の回避が出来たんだよね?」と主人公がニールに語り掛けるシーンもありますし、なんじゃそれって感じです。しかしここで大事になってくるのがニールのセリフです。ちょうど滅亡の回避出来てんじゃねぇ説を主人公が問いかけていた辺りのシーンでニールは、

「すべては決まっているけど、何もしないわけにはいかない。」

こんなことを言うんですよ。まるで全てを最初から知っていたかのような言い分です。思えば主人公との初対面シーンでは、主人公が任務中はお酒を飲まずにダイエットコーラを飲むことを知っていたし、時間の逆行という摩訶不思議な現象を目の当たりにしても、全く臆することなく冷静に対処していました。この事から考えるに、彼がどういう時の流れを踏んでいるのかはいまいち把握が出来ないのですが、全容を把握しているのは確かです。となるとラスト、主人公を救うべく身代わりになって射殺されることも知っていることになります。死ぬことが分かっていながら相棒と共に任務を果たす。時間を超越したバディーの絆がそこにあると見て取れます。

また、あのセリフ自体が結構重みあるものだったと感じています。例え未来に起こることを知っていたとしてもそこに向かって行動していく強い意志と同時に、「未来」よりも「今」を大事にする思いも滲み出ているように感じられました。

これは、私が『インセプション』でした解釈にリンクするテーマだと思います。『インセプション』の場合は、「起きているか」か「眠ったまま」かは置いといて、目の前にしている「現実」と向き合おうとすること。そして今回の『テネット』では、「未来」や「過去」で起きることは置いといて、目の前の「現実」に対処していくこと。これは、ノーランさんの現実主義的な発想が現れている“らしさ”全開の作品だったというのが私の結論です。

 

まとめ

さて、色々言ってきましたが私の考察はかなりこじ付けというか、無理矢理咀嚼した感じが自分でもしてます。結局こういう映画は、なにふり構わず感じるままに楽しむのが正解だと思います。

そして何と言っても新型コロナの影響でどの作品(作品というより映画会社)も保身に走り、公開延期を繰り返したり、自社で運営する配信サービスに逃げたりする一方、強気の劇場公開をしてくれた健闘を称えなくてはいけません。

感染拡大防止のためならまだ分かります。しかし既に多くの都市で経済活動は再開しています。(ロックダウンの噂のある都市もあるようですが)主要都市の映画館が空いてないことを理由にしているなら、正直弱腰としか受け止められません。ファンは待ってます。公開されれば必ず劇場へ足を運ぶはず。映画ファンの力を信じて欲しいものです。今作の製作陣は、そんな観客たちを信じくれたんだと思います。まさに「テネット」が意味する「信条」です。信じてくれてありがとう!

それでは、この辺でお開きです。ありがとうございました。

 

参考:

・テネット公式パンプレット 2020年9月18日発行 

 

第38回:早い!安い?美味い! 再び100分以内で鑑賞出来る映画を紹介

今回は、再び短めの作品に出会う機会が多かったので100分以内に鑑賞できる作品を色々挙げていこうと思います。

私、結構短めの作品を重宝しています。なぜかって平日の夜でもイケるからです。

これは私の生活パターンなんでしょうけど、仕事から帰宅し、ご飯やら風呂やら済ますと大体21時に。そうなると23時までの2時間は、ほぼテレビドラマタイムに突入。映画見るのが好きだとドラマ見るのもおのずと好きになっていくものです。Netfilxで配信されているドラマにも手出ししてますから忙しい。で、23時以降になって「なーんか映画みてーなぁ」となる時があるんです。でも次の日もあるし、寝落ちする危険性があるからどうしようかと悩みます。そんな時の強い味方が短めの作品なんです。23時から見始めても終わりは0時半ぐらい。1時まであと30分じゃんって話なんですけど、この30分の壁が私にはデカい。まぁそんな私の生活リズムに寄り添ってくれるような絶妙な上映時間ってわけです。例えるならば小腹を満たす夜食といったところでしょう。

恐らく私と同じような境遇の人もいることを信じて、秋の夜長の過ごし方の参考にでもしてくれると嬉しいです。

 

 

captaincinema.hatenablog.com

↑前回の内容はこちら。

 

ハッピー・デス・デイ(2017年公開・上映時間:96分)

f:id:captaincinema:20200923215839j:image

 最近見た作品1本目。『パージ』シリーズや『ゲット・アウト』、『透明人間』など多くのホラー・サスペンス映画を世に送り出してきたブラムハウス・プロダクションズが手掛けたタイムループ系ホラー映画。時間を使ったトリックといえば『テネット』が話題ですが、こちらの方がずっとシンプルです。

主人公のクソビ○チ(ジェシカ・ローテ)がお誕生日に何者かに殺されてしまうのですが、なんとその殺される誕生日を何度も繰り返してしまいます。殺されて続けてその日をやり直していく中で、犯人追求を目指すことになるのです。

なぜタイムループしてしまうのかは理由は明らかにはなりませんので、そこの説明は欲しい気もしました。しかし仕掛け自体が面白いですし、不謹慎ながらも自然と笑えてくるのは不思議な魅力です。

また主人公がビ〇チってのも、ホラー映画じゃ珍しい気がしましたね。ビ〇チが死を重ねていくことで、強い意志を持った女性へと変貌していく成長物語としても要素もあるわけです。ここには新鮮さを感じました。

ちなみに、今作は続編があるようなので近いうちに見てみます。この作品で物語自体には終止符が付いているので、どう繋がるのか。また、タイムループする理由が明かされるのか。気になる点が結構あります。

 

フランシス・ハ(2012年公開・上映時間:86分)

f:id:captaincinema:20200923215853j:image

最近見た作品2本目。モダンダンサーとして成功することを夢見る女性、フランシス(グレタ・ガーヴィグ)の日常を描いたモノクロ作品です。

この女性ね、決して悪い人ではないのにどうも人間関係が微妙です。距離の取り方がいけないのか、フィルターが一枚あるような雰囲気。おかげで会話がイマイチ盛り上がらない。一番の問題は同居している女友達に依存しているところでしょう。部屋の片付けは自分じゃ出来ないし、ちょっと子供っぽい気もします。かと言ってモダンダンサーとしてのキャリアも順調に歩んでいるわけでもありません。色々ドン詰まりって感じです。

そんな彼女が、夢と人間関係に右往左往しながら少しずつ前へ進んでいこうとする姿を見ていると何だか元気付けられます。色々悩みがあっても決して悲観的にはならずに、自分らしさを貫いているのが一番魅力に見えます。完璧な人間なんていない。自分らしく生きるのが正解ってことかなぁ。

 

THE GUILTY/ギルティ(2018年公開・上映時間:88分)

f:id:captaincinema:20200923215905j:image

最近見た作品3本目。今作は雑音のない静かな環境で見ることをおススメします。なぜなら「声」だけが頼りのサスペンスだからです。

主人公は緊急コールセンターに勤める警察官。迷惑電話に近いような対応に追われる中、女性から誘拐されたという一本の電話がかかってきます。電話越しの声を頼りに女性を救うため奔走する主人公。しかしそこには、驚くべき真実が隠されているのです。

ポスターにも書かれていますが、想像力が試される映画です。時節主人公が電話でやり取りしているシーンしかないので、見ている側は、会話を聞き取りどんな状況か想像を膨らましていくしかないのです。ただ、事態が悪い方向に向かうに従って、画面全体が徐々に暗くなっていくなど、僅かな映像の変化もポイントとなっているように感じました。ハリウッドでのリメイクが決まったもの頷けるような面白いアイディアの作品でした。

 

ファントム・オブ・パラダイス(1974年公開・上映時間:92分)

f:id:captaincinema:20200923215916j:image

アンタッチャブル』(1987年公開)や『スカーフェイス』(1983年公開)のブライアン・デ・パルマ監督が撮ったミュージカル映画ミュージカル映画と聞くと華やかで綺麗な印象があるかもしれませんが、今作は違います。暴力的でギラギラした雰囲気を醸しており、それが最高な作品なのです。

自身の曲を盗作をされた後、濡れ衣を着せられて逮捕された主人公(ウィリアム・フィンレイ)。刑務所で受けた拷問により歯を失うし、脱走したのは良いけど事故に巻き込まれて顔の半分がぺしゃんこになったりと踏んだり蹴ったりな地獄の日々。そんな彼には思い人がおり、潰れた顔を仮面で隠しながら彼女を見守ることになっていきます。新たな地獄が待ち受けているとも知らず。

オペラ座の怪人』や『ノートルダムのせむし男』などをベースにしたぶっ飛びストーリーを、ロックミュージックを推進力に1歩どころか3歩先へいってしまうぐらいのハイスピードで展開。またカメラワークもハイテンションです。特に私の印象に残っているのは、中盤ぐらいの主人公が走る姿を後ろから映しているシーン。カメラマンが後ろから追っかけて撮っているのか手ブレが凄い。この手ブレが、臨場感と疾走感を演出していたと思いました。これが92分ってのが画期的。92分以上の満足感を得られることは間違いないと思いますね。

 

悪魔のいけにえ(1974年公開・上映時間:90分)

f:id:captaincinema:20200926221903j:image

 このコーナーでさらっと紹介するのは、勿体無い気がしますが…まぁいいでしょう。先ほど100分以内の映画は小腹を満たす感覚で見られると表現しましたけど、今作に限ってはそうはいきません。腹を括って見るべき怪作です。

ゲームの影響もあって、知名度は充分であろうレザーフェイスが登場するホラー映画。内容はとってもシンプルです。5人の若者が旅行中、テキサスの田舎街を通り過ぎたら変な家族に目を付けられ訳も分からず殺されていく、それだけです。若者が虐殺されるネタはホラー映画じゃあるあるな気はしますが、個人的には他とは全く違った異彩を放つ作品だと思っています。

私は今作を観る前は、チェーンソーで切り落として血がドバドバみたいなのを想像していました。かなり恐ろしい作品と噂を耳にしていましたから、ゴア描写シーンが満載なんだろうと。しかし、そんなシーンはありません(ちょっとはあるか)。そもそも流血や人体破壊シーン自体が少ないのです。本作はグロテスクさで恐怖を煽るのではなく、映像の質感や音などを巧みに利用しているのです。

まず映像。画質がめちゃめちゃ荒い。これが何だか見ていて落ち着かないのです。また、やけに開けた青空や美しい夕日などホラー映画には似つかわしくない綺麗な田舎風景が異様さを際立出せています。

そして音。よくある音楽でビックリさせる、いわゆるジャンプスケアの手法ではありません。チェーンソーの轟音と女性の狂った悲鳴。これがひたすた流れまくります。一部の人はうるさいと捉えるかもしれませんが、「うるさい」という感情を含めた非常に気分の悪いものとするためわざとやっているんだと思います。

映画館で見たら一体どうなるのでしょう。小心者の私は正気ではいられない気がします。

 

まとめ

以上5作品を紹介しました。前回の内容もひっくるめて考えてみると、ワンシュチュエーションものやホラー系統のジャンルに短い作品が多い傾向を感じました。また出会う機会が増えて、ネタが溜まったら吐き出そうと思います。

それではこの辺でお開きです。ありがとうございました。