キャプテン・シネマの奮闘記

映画についてを独断と偏見で語る超自己満足ブログです

第151回:映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』感想と考察

今回は現在公開中の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

世界で最も売れた映画『アバター』の最新作。2009年公開なので13年前ですか。あの時は3D上映が画期的でそれを大々的に売りにしていましたが、現在では3D上映ってほどんどなくなりましたね。IMAX3Dが多少残っていますが、平成期のブームにとどまり落ち着てしまった感があります。(ちなみに4DXは映画ではなくアトラクションだと思っているので論外ということでw)

地球から離れた神秘の星 パンドラ。元海兵隊のジェイク(サム・ワーシントン)はそこに住む先住民ナヴィの女性 ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と結ばれ、子どもたちと平和に暮らしていた。しかし再び人類が侵攻してきたことで一変。ジェイクは家族を守るため未知なる海の部族のもとへ身を寄せることになる。

監督は前作に続きジェームズ・キャメロン。キャメロンといえばやはり『ターミネーター』(1984年公開)ですよね。あっ世間的には『タイタニック』(1997年公開)なのかな?この2作品が二大巨頭って感じですが『エイリアン2』(1986年公開)と『トゥルー・ライズ』(1994年公開)という伏兵も潜んでます。

キャストはサム・ワーシントンゾーイ・サルダナ、スティーブン・ラング、シガニ―・ウィーバーが続投。っと言ってもですね、正直誰が誰だかちょっと分かりずらいです。ケイト・ウィンスレット出てたの?前作と比べ人間パートがほとんどないので、登場人物の9割青い。かなり画期的です。ちなみにサム・ワーシントンは『ハクソー・リッジ』(2016年公開)が最高です。

長い

まず率直な感想がこれです。上映時間はなんと192分。時間だけ見ると膀胱が縮んでしまいそうですが、決して長い映画が悪いと言っているわけではありません。上映時間が長くとも面白ければそんな事は忘れるものですから。しかしその長さに内容が伴っていないのはよろしくないと思います。

長く感じた理由は大きく2つ。箇条書きで考察してみましょう。

・やってる事が色々同じ

ネタ切れでもしたのでしょうか。前作の『アバター』に『エイリアン2』要素と『タイタニック』要素を加えたかのような既視感の強さから新鮮さがあまり感じられませんでした。またコロナによる公開時期がズレたことが影響したのは運悪しですが、海に暮らす部族の様子は『ブラック・パンサー ワカンダ・フォーエバー』で観たばっかりだったし。真新しさがないのが長く感じる原因だったと思います。

それにストーリー自体も同じことの繰り返しをしてました。だって人間の皆さん、何かしらをおとりに誘き出す以外に戦略ないんですもん。引き出しが少ない。

・子どもパートが過剰

本作のテーマは人種の対立による戦争だと思っていたのですが、それとは少し離れた子どもパートが長く感じたのもありました。

例えば個人的にエイリアンな海洋生物には興味ありますが、海洋生物と子どもたちがどう絆を結んでいくかはさほど興味がなくてですね。そのため中盤は間延びしてるように見えました。シーシェパードもニッコリなクジラのくだりは長い。

そしていざ終盤の戦闘シーンに入っても子どもパートがなくなりません。いつまで逃げられないでいるのよ。そのせいなのか海の部族の皆さん、とくに族長さんとその奥さんの活躍シーンがほとんど無いし、ラストのタイマンファイトも盛り上がりに欠ける終わり方の印象でした。

 

要するに贅肉が多いと思いました。これぐらいのストーリーのボリュームなら2時間程度にまとめてほしかったです。それでも映像という観点で見れば圧倒的のクオリティです。ミリタリーオタク感満載の兵器ビジュアルは格好良いですし、水の映像表現力や表情の微かな動きなどもここまでのレベルに到達したのかと感服します。なので映像だけを観に行くぶんには満足かもしれません。でも映画って総合力ですからね、画力だけ良くてもねぇ…。

まとめ

以上が私の見解です。

すみません、かなり辛辣になってしまいました。でもしょうがないです。映像以外に良いとことが見つけられず、目は奪われても心は奪われなかったので。映像だけを進歩させても、私のようなへそ曲がりな堅物野郎の心は掴めないってことです。がんばれ~映画の作り手w。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

 

※ちなみに

そんな「アバター」の続編ですが、やはり製作費が相当かかっており、なんと日本円にして2700億円売上げないと元が取れないんだそう。規模がデカすぎる。その2700億円という記録的数字を叩き出した映画は過去に5作品。そのうち2本はキャメロンが手掛けた作品(『アバター』と『タイタニック』)だからもの凄いのですが、世界一売れた映画の続編とあってどこまで伸びるのか注目です。ちなみに日本の興行収入は初登場第3位。さすがアニメ大国、そして売れる作品を流しまくるシネコン体制です。日本での売り上げは見込めなさそうなので、ホームグラウンドである北米と映画業界最大マーケットの中国でどこまでいけるかがカギとなってきそうです。まぁ赤字だろうが黒字だろうがどっちでも良いのですが。

で、仮にですよ。本作が興行的に失敗したらまた2~3年後に「あれは失敗作だった」とか言うんでしょ?キャメロンさん、反省するのは良いけどもう少し自分の発言と関わった作品に責任を持ってほしいですよね。

参考:

「アバター2」が2700億円売り上げないと困る理由 | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

「THE FIRST SLAM DUNK」が3週連続動員トップ、「アバター:WoW」は初登場3位(映画動員ランキング) - 映画ナタリー

第150回:映画『ザ・メニュー』感想と考察

今回は現在公開中の映画『ザ・メニュー』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。と書きましたが今回はかなり核心に触れそうなので、これからご覧になる予定の方はどうぞお引き取りを。

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イントロダクション

FOXサーチライト・ピク…失礼、サーチライト・ピクチャーズが仕掛けるレストランサスペンス。未だに「FOX」がなくなったのに慣れないよ。

有名シェフであるジュリアン・スローヴィク(レイフ・ファインズ)が料理長を務める孤島の高級レストランにやってきたマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)とタイラー(ニコラス・ホルト)。抜群の味と驚愕のサプライズの料理の数々にタイラーは感動しきりだが、マーゴは違和感を覚える。そして各料理に仕掛けられたサプライズは徐々にエスカレート。裏に隠された秘密やスローヴィクの過去が他の客をも混乱させていく。

主演は『Furiosa(原題)』の公開が待ち遠しいアニャ・テイラー=ジョイと『マッドマックス怒りのデスロード』(2015年公開)のニコラス・ホルトという新旧マッドマックスサーガの2人。対するは『グランドブタペストホテル』(2014年公開)や『キングスマン/ファースト・エージェント』(2021年公開)のレイフ・ファインズ。そういえば差別発言で度々燃えている「ハリポタ」の原作者 J.K.ローリングを擁護するような発言をしてたみたいですけど、大丈夫かいな。

面白いけど・・・

ずばり面白いけど嫌いでした。さぁ何を言ってんだって話かもしれませんが、着眼点は面白かったと思います。カスハラなんて言葉やお客様は神様的な考えが残っていたりするこの時代。お客様至上主義によって潰された思いや誇りをかけた完璧なるメニューを巡るスリラーの言いたい事は分かります。ただ流石に度が過ぎるというか、致し方ない部分もあると思うんですよ。

例えば来店11回目の老夫婦。金に物を言わせるムカつく客なんでしょうけど、食べた料理を覚えてないのは多少は仕方ない気もします。だって人生において一体何回外食する機会があると思ってるんですか。何処で何を食べたかうろ覚えの人の方が案外多いのではないでしょうか。彼らの客としての姿勢以上に食を提供する場が多く、フードロスが問題となる消費社会全体に非がありそう。攻めるべきはそこなので、ターゲットにされる理由としては難ありな気がしました。

これは料理のみならず映画などのコンテンツでも同じだと感じたのが余計に腑に落ちなかったのかも。映画鑑賞を趣味とし毎週のように映画館に行き、映画を観ない1週間はない生活を送っている以上、観た事を忘れている作品だって多々あります。動画配信サービスが充実し各々が独自で作品を製作している事で膨大なコンテンツが溢れかえっているこのご時世。キャパオーバーにも程があるので観た事を忘れていても仕方ないとは思います。まぁ覚えてないってことは自分にとっては必要のない作品だったって事でしょうし。

ちなみにジョン・レグイザモ演じる落ち目な俳優さんもなかなか不憫な理由でターゲットにされちゃってました。そりゃ舐めた態度で作品に向き合う俳優は消えてもらって結構。でもシェフさんよ、それはあなたの個人的感想ですよね?どんな駄作であっても、肯定的な立場の人が少なからず存在するのが作品ってやつです。100人いて100人が嫌いなんて言う作品はたぶん無いです。逆に好きとか言い出す人だっているし。

こうしたサービスを提供する側とされる側の在り方を斜め上から投げかけてくるようなテーマ性。ちょっと乱暴にまとめると双方ともに不快で偉そうな態度は取らないのがあるべき姿ということでしょう。そして1周回って結局一番美味いのはジャンクフードってことも。変に映えとか狙うよりもシンプルイズザベストの精神が大事なのは食にせよ映画せよです。

まとめ

以上が私の見解です。
発想は面白いし決してつまらない作品ではありません。けれど、観に来てる客をどこか小馬鹿にするようなシニカルな感じが嫌いでした。結末も納得いかんし。まぁこういう時もありますね。

ちなみに、あのニコラス・ホルトが演じる通ぶってる奴もウザかったねぇ。ああいう評論家気取りで無駄にこだわりが強いうんちくばら撒き野郎、どの界隈にも居るよね〜。グルメに関しては井之頭を見習え!とは言うも私も気を付けないと。うんちくたれてる時って気持ちよくなっちゃうんだよね。嫌やぁ~同類とか。あと「カリスマ」に見られるの好きね。いや、あなたをヴァルハラに送ってくれる神は単に地平線を見ただけだよw(分かる人にはきっと分かる)

という事でこの辺でお開きです。ありがとうございました。

第149回:2022年を映画関連ニュースで振り返る

気付けば肌寒くなり今年も残りあと1か月。どんどん短く感じる1年といったところですが、思えば今年も収束しなかったパンデミック。年明け早々オミクロン株が爆破的に増えましたが一旦収まり、ここ最近全国旅行支援が始まったと思ったら徐々に感染者が増えてくるイタチごっこが続いています。コロナ禍は終わってないけどサル痘の方は大丈夫なんでしょうかね?一時アメリカでは緊急事態宣言出たらしいですし。

そんな中開催となった北京オリパラリンピック結局去年の東京五輪汚職で真っ黒でしたが、この平和の祭典と位置付けられる大会を吹き飛ばすかのように始まったロシアのウクライナ侵攻が世界に混沌と衝撃をもたらしました。こんな形で知名度が上がるとはゼレンスキー大統領も思ってなかったでしょう。ウクライナ国民の虐殺や杜撰な招集令、核兵器使用を度々ちらつかせる等非情な所業を重ねるロシア政府を一刻も早く止める必要がありそうです。

この侵攻は円安物価上昇にも影響をしています。まぁ物価上昇に関しては今に始まった話ではないしてもあまりにも急激な上げ幅。食料品に限らず電気代(夏も冬も電力不足だし)やAppleStoreのアプリやサブスクなんかも値上げとなりました。そういえばTwitterも有料化する的な…イーロン・マスクが買収してからてんやわんやしてますが、何でもかんでもお金が掛かる時代ですなぁ。

こうしたコロナ対策や国際、経済問題が山積みの政権与党にさらなる追い討ちをかけたのが安部元首相暗殺事件国葬は賛否両論、世論を真っ二つにし、社会の分断を如実に表す事となりました。さらにそこから表面化した統一教会の問題は有耶無耶状態が続いています。とくに矢面となった瀬戸際大臣は辞任したのになぜかコロナ対策本部長に。宗教2世の問題も含め解決する気があるのかどうか。

こんな状態の日本は果たして大丈夫なんでしょうか?いやゴルバチョフエリザベス女王といった歴史を動かしてきたレジェンドも居なくなった世界そのものの行く末が不安な1年となりました。

その他、アーニャきつねダンスガチ中華村神様暴露系YouTuberサッカーW杯4630万円が話題となった2022年。映画関係でも様々なニュースが飛び交いました。細かいニュース含めると膨大な情報量となるので、個人的にデカかったと思う話題を偏った独自見解まみれで振り返ってみようと思います。

↓去年の内容はこちら

captaincinema.hatenablog.com

↓殺伐とした話題もありそうなのでネコの写真でも。こんな平和な顔で生きてられれば楽ですな。

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色々あった米国アカデミー賞

まずはこちらの話題から。今年の米国アカデミー賞を例年以上に注目した人は多かったのではないでしょうか。濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が日本映画として13年ぶりに国際長編映画賞(13年前当時は外国映画賞)にノミネート&受賞を果たしました。さらに作品賞と脚色賞にもノミネートされ日本映画史上の歴史に残る快挙を成し遂げました。ほらな、言ったんじゃんか。去年のニュース振り返り回で、各映画祭で快進撃を続けているから世の中はもっと注目すべきだと。マスコミってきっと映画にあんまり興味ないんだろうなぁ。

過去のアカデミー賞と日本の観点で見てみると、メークキャップ賞や衣装デザイン賞といった美術系統の部門で日本人のノミネートと受賞が目立ちます。アニメ大国と言われる日本ですが、長編アニメ賞の受賞は何だかかんだ『千と千尋の神隠し』の1回なんですね。つまり作品賞と脚色賞のノミネートは新たな扉を開いたのかもしれません。今後どの部門で受賞者が誕生するのでしょうか。

その他『Coda あいのうた』の作品賞を含む3部門受賞や技術部門系統で『DUNE/デューン 砂の惑星』が圧倒的強さを見せたのもありましたが、結局一番目立ってしまったのがウィル・スミスの平手打ちでしょう。なんせ主演男優賞受賞からのアレですから流れが凄まじい。殴ったウィル・スミスは授賞式の10年間出席禁止。次回作も危ぶまれる状況となっていますが、茶化して殴られた側のクリス・ロックには次の授賞式のオファーが舞い込み(断ったそうですが)、スタンダップショーはバカ売れ。今年公開の『アムステルダム』にも出てましたね。まぁ手を出した側が良くないって判断なんでしょう。まさかの『G.I ジェーン』(1997年公開)にもとばっちりなアメリカンな騒動でした。

↓『Coda あいのうた』についてはこちら。

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ブルース・ウィリス引退

丁度アカデミー賞が話題となっていた時期と同じぐらいの時に入ってきたのがブルース・ウィリスの俳優業引退のニュースでした。引退の理由は失語症だそうなので、かなり衝撃的でした。

私にとっては『アルマゲドン』(1998年公開)や「ダイ・ハード」シリーズを子供の頃に観て“アクション俳優”のイメージが定着していたのですが、後に『パルプ・フィクション』(1994年公開)や『12モンキーズ』(1995年公開)を観て、アクションだけじゃない多才な俳優というイメージに変わっていった役者さん。やっぱり一番好きなのは1988年公開の『ダイ・ハード』。あれはアクション映画の金字塔にして映画史に残る傑作。クリスマス映画としても最高の1本です。

個人的には『デス・ウィッシュ』(2018年公開)の続編、ちょっと期待してたんだけどなぁ。ともあれ私が映画好きとなった要素でもあるので感謝しかないですし、作品は永久不滅です。

デップvsハード 仁義なき裁判闘争

さらにハリウッドスター界隈からはこんな事もありました。

一体いつから争っていたのかジョニー・デップアンバー・ハードの離婚後の名誉毀損裁判。今年にかけて本格的な裁判が繰り広げられていました。裁判の争点となったのはどちらがDV(家庭内暴力)を振るったのか否かといったものだったでしょうか。脱糞エピソードとか強烈でしたね。

この裁判沙汰の影響か「ファンタスティックビースト」シリーズからの降板、「パイレーツオブカリビアン」の新作も頓挫となったデップ。一方ハードの方も『アクアマン』の続編での出演シーンが大幅カットされたとか。そもそも『アクアマン』(2018年公開)に出演できたのはデップのおかげで、役者としてたいした実力はないというちょっと可哀想になる話まで出てました。

結果的にはデップが概ね勝訴。ハードに対して損害賠償1500万ドル(日本円して約15億!払えないだろw)の支払いが命じらていますが、一部ハード側で申し立てていた件が認められているのをデップ側は不服とし控訴しているんだとか。いやまだやるんかい!愛したはずの人とここまでやり合うなんて超シビア。デップの担当弁護士とのロマンスや既に映画化説の噂まであるなんてこれまたアメリカンな話題でした。

ちなみにアンジリーナ・ジョリーvsブラッド・ピットも開戦の予感。あったとしてもここまで泥試合になるイメージはないですが、さすが裁判大国アメリカって感じです。

海外スターたちの来日

そんな良くも悪くも世間を湧かせる海外スターの皆さん。そりゃ来日すれば結構盛り上がります。

今年はコロナウイルスによる入国制限措置が緩和された事もあり海外からのスターが相次いで来日を果しました。先ほど名前を挙げたブラッド・ピットを始めトム・クルーズエディ・レッドメインアンセル・エルゴートソン・ガンホ等が作品のPRの為来日しました。マ・ドンソクの来日が残念ながら梨泰院の雑踏事故の影響で叶わなかったのも記憶に新しいですが。さらにイベント開催の緩和もあったので、東京国際映画祭や東京コミコンでも様々な方が来日をしました。やっぱりこういうのも含めて映画だと思います。

ちなみに個人的に印象深かったのは『ブレット・トレイン』のブラッド・ピット&アーロン=テイラー・ジョンソン。だって今年は日本に鉄道が通って150周年の年ですよ。そんな年にハリウッドスターが新幹線に乗って映画のPRイベントだなんて。鉄道職員、とくにJR東海の人達にとっては感動の一幕だったでしょう。

マーベリック旋風

そんな来日を果たした一人であるトム・クルーズ(新作が公開されるたびに来日していますが)。彼の新作であるトップガン マーベリック』が日本でも大旋風を起こしました。

1986年に公開した1作目と同様に主人公はトム・クルーズ演じる戦闘機のパイロット“マーベリック”。今作では若手を指導する教官の立場となって困難なミッションに挑む姿が描かれています。驚異的な映像と爆音極まるサウンドが話題を呼び、近年の洋画にしては珍しくロングランヒットを記録。ネット上では追いトップガンという言葉も生まれ、1作目のファンを筆頭にリピーターが続出しました。国内での配給をした東和ピクチャーズによると観客の6人に1人がリピーター。その中には70回や100回を超える回数劇場に足を運んだ強者たちも居たとか(マジかよ、俺『マッドマックス怒りのデス・ロード』でさえ映画館では7回だよ…)。私の職場にも3回劇場で追いトップガンをした人が居ました。なんてこった、私1回しか観に行ってないですよ。『NOPE/ノープ』は2回観たんですけどね。

作品の良さやクルーズ自身が劇場での公開にこだわり何度も延期となった事への期待値、前作ファンの根強いリターンがここまでの人気に火を付けたのだと思いますが、やはり「トム・クルーズ主演」がパワーワードなんだと改めて感じました。昨今、ネームバリューで集客の取れる役者が、特に若手の役者にほとんど居ない気がします。現在のハリウッドではティモシー・シャラメルーカス・ヘッジズ、フローレンス・ピュー等が台頭しているイメージですが、トム・クルーズほどの話題性はまだって感じでしょう。

また役者のみならず国内外問わず一般の人に浸透したネームバリューの監督も居ないですよね。スピルバーグぐらい?これらの事も影響して日本の洋画不振に繋がってるような気さえしてきます。だってたいていの人は“マイケル・ベイの新作だ!”(『アンビュランス』のこと)とかで映画館に行きませんからねぇw

↓『トップガン マーベリック』についてはこちら。

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相次いだ映画館の閉館

トップガン・マーベリック』のみならず今年は『ONE PIECE FILM RED』や『すずめの戸締り』も大ヒットを飛ばしているので一見映画館は元気そうですが、今年は閉館となる映画館が目立ちました。

都内では渋谷TOEI、飯田橋ギンレイホール岩波ホールが。大阪ではテアトル梅田が閉館となりました。特にテアトル梅田に関して私にとってはクリティカルだったといいますか。都内住みの人間ですが今年の春頃に大阪へ長期出張をしてまして、そのタイミングで一度映画を観に行ったんですよね。雨降ってたなぁ、帰りに古潭ラーメン食べたなぁ。観た作品自体は個人的にハマりませんでしたが、これはきっと映画館の神様によるご縁ですw

ちなみに話は脱線しますが、今年は新宿小田急新宿駅西口の再開発に伴い本館が閉館。来年には八重洲ブックセンターや渋谷の東急百貨店がなくなる予定。下北沢や小岩なんかもだいぶ再開発が進んでいて様々なものが無くなっています。こうしたニュースを見ると常々そんなに街って変わらないといけないの?と思ってしまいます。どこもかしも利便性や小奇麗さを重視したら街自体の個性がなくなり面白くないと感じます。ちょっと不便、古くさいぐらいが丁度良いじゃないですかと思うのは私だけなのでしょうか?

↓テアトル梅田でのエピソードを含めた大阪での映画館雑記についてはこちら。

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映画秘宝の事実上廃刊

そして無くなったのは日本で一番売れている映画雑誌だったはずの映画秘宝も。

原因となったのは元編集長によるSNSでのDM(ダイレクトメッセージ)の炎上ような格好でした。しかしそれ以外にも理由はあると思っています。紙媒体、活字メディアの衰弱や昔と比べて映画が娯楽の中心ではなくなったことも恐らく影響していると考えられます。つまり色んな意味で時代についていけなかったかという事でしょう。残念無念。

ともあれ、あれだけの新旧含めたニッチでオタクな映画情報が入手出来たのはあの雑誌だけ。私、未だに代替となる情報入手先を見つけられず路頭に迷っております。まぁこう言っちゃなんですが、キネマ旬報はどちらかと言うと邦画に偏ってるしSCREENは洋画ばかり。映画芸術は硬派すぎてよう分からんしw。まぁこれからは自分の足で稼ぐしかない時代なんですね、頑張って自立します。

映画界に蔓延る「暴力」

さらに日本の映画界に暗雲が立ち込めるような話題もありました。正直こんな事は話題にしたくないですが、今年を振り返るうえでは避けられませんね。

榊英雄監督への告発による新作公開中止を皮切りに園子温監督とそのプロデューサーによる性加害報道や川瀬直美監督による身体的暴行やパワーハラスメント疑惑の報道といった刑事罰に問われ兼ねない問題の数々が明らかになりました。さらに監督のみならず俳優の木下ほうかや香川照之の女性への暴力が明らかとなり、芸能界から干されるという動きも見られました。

うーん…なんでしょうね。犯罪行為になり得るという認識が権力や知名度を得る事で見えなくなってしまうのでしょうか。現状、告発や疑惑のあった方々が説明責任を完全には果せていない雰囲気も嫌な空気。報道側も取り上げるだけ取り上げておいて追求もなく、現状下火になってるのも如何なものかと思います(そもそもTV局はこの問題はほぼスルーしてる感じだし)。とりあえず来年公開のMeToo運動の起因となったハーベイ・ワインスタイン告発を基にした映画『SHE SAID シー・セッド』を観て、改めて考える必要がありそうです。

こうした権力集中やブラックボックスと化した製作体制に変革をもたらしそうなのがインティマシーコーディネーター。性的なシーンやヌードが含まれるシーン等の撮影をサポートする専門職のことで、日本でこの資格を得ている人はまだ数人しか居ないんだそうです。今年の流行語大賞にノミネートもされていましたが、世間的な認知度はまだまだな気がしますし、映画よりもTVドラマでの起用が活発になりつつある段階といった印象です。果たして業界に定着していくのか?今後の動きに注目です。

マッドマックス関連

無くなるとか暴力とか暗い話題が多くなったので最後に明るくなれる話題を。とか言って明るくなるのは私だけかもしれませんが、毎年設けているこのコーナー、マッドマックス関連です。

今年も『ザ・メニュー』や『アムステルダム』、『ノースマン/導きかれし復讐者』(こちらの日本公開は来年)で大活躍だったアニャ・テイラー=ジョイが主演を務める「怒りのデス・ロード」のスピンオフ作品『FURIOSA(原題)』の撮影が今年の6月より開始。8月にはジョージ・ミラー監督のコロナ感染が判明し、撮影の一時中断を余儀なくされていたようですが(年齢も年齢だし大丈夫か?)既に終了したとの事。ということはもう公開するのかと思いきや全米公開は2024年の5月24日。編集だったりが大変なんだろうな。とりあえず日米同時公開を必死で祈るばかりです。

そんな『FURIOSA(原題)』の公開前に、まずは監督のジョージ・ミラーの新作『Three Thousand Years of Longing(原題)』が日本でいつ公開されるかも重要です。今年のカンヌ国際映画祭でお披露目となり全米では既に8月に公開。予告は見ましたけど、かなりカオスな世界観でこれまたぶっ飛んだ作品の匂いがプンプンです。まさかね、DVDや配信スルーなんてことにはなりませんよね。イドリス・エルバティルダ・スウィントン出てんだから。

ちなみに今年何かと話題になったNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』で主演を務めた黒島結菜も「怒りのデス・ロード」のファンなんだそう。ブラック&クローム版も含め映画館で5回観た事があるなんて、完全に同志ですわw

最後に

以上、9つの話題でした。

この記事はアップする1ヶ月前ぐらいから準備してましたが、やっぱり書いてて一番楽しいっていうか筆が乗る気がすんだよなぁw。

その他、ゴダール逝去ファスト映画への判決確定クリス・ヘムズワースの俳優休業もありましたがこの辺でお開きにしましょう。来年もきっと嬉しいニュースも残念なニュースもやってきます。いち映画オタクの端くれとして今後も追っかけていく所存でございます。それではありがとうございました。

 

参考資料:

朝日新聞 2022年4月30日(土)  beSatuaday 4ぺージ目 

朝日新聞 2022年9月17日(土) 夕刊 

朝日新聞 2022年10月29日(土) 夕刊 2ページ目

ジョニー・デップ、元妻アンバー・ハードの主張が一部認められたことを不服とし控訴(クランクイン!) - Yahoo!ニュース

『マッドマックス』新作映画、主演アニャ・テイラー=ジョイが撮影終了 | THE RIVER

黒島結菜「マッドマックス5回観に行った」発言にネット驚き「好感度爆上がり」「推せる」(クランクイン!) - Yahoo!ニュース

 

第148回:東京コミコン2022に行ってみた件

今回はさらっと映画関連の雑談を。今月25から27日にかけて幕張メッセで行われた東京コミコン2022。映画やコミック等ポップカルチャーが集まるオタクの祭典といったところですが、私最終日の27日に行ってきたのでその雑談でもしようと思います。

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私にとってのコミコンは

まず一括りにコミコンといっても楽しみ方は人それぞれでしょう。思い思いのコスプレをするも良し。押しのアーティストやスターのサインやフォトセッションに出向くも良し。SNS等の趣味アカで繋がりのある人と交流するも良しです。

そんな中私の楽しみ方は言わば“バカ”になる日といったところです。普段写真なんて撮らないのに火が付いたように展示物の写真を撮りまくる。さらに特に必要のないものを買い散財する。そしてあわよくばスペシャルゲストとして来ているスターを愛でる。役者さんに関しては国内外問わずめちゃくちゃサインが欲しいとかツーショットが欲しいって方は居ないんです。ただ本物は是非とも拝みたい。そんなミーハー魂が私をコミコンへと誘うのです。

1日の行動

で、当日はざっくりこんな感じで動いていました。

・入場口で貰ったプログラムを開くと、なんと『マッドマックス』に登場するインターセプターの展示が!テンション爆上げ状態となり、逃げる訳でもないのに足早に駆けつけます。ああぁ尊い、まさかこれが見られるなんて冥土の土産にします。

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その他『トップガン』や『ゴーストバスターズ』、『スター・ウォーズ』などで使用されたプロップに心奪われ、アホみたいに写真を撮りまくり午前中をほぼ使い果たしました。

・昼飯前にふらっと入ったブースで黒沢清監督作品『CURE』のTシャツを買いました。コミコンなんだからマーベルとかDCのグッズ買えよってね。まぁ私『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のTシャツにアイアンマンの手提げ鞄とバットマンのベルトというカオスな出で立ちだったので、こういう人間なんすよ。

・昼飯を腹に納めてからの再入場。プライム1スタジオのブースで再びテンション爆上げ。フィギュアとうかスタチューというのかな?欲しいけど高いよな〜。特に『トランスフォーマー』のメガトロンと『エイリアン』のリプリー、『ロストワールドジュラシック・パーク』のやつには感動したわ。

↓メガトロン、マジかっけぇ

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・マーベル&SWブースに並び疲れ、休憩がてらステージで開催されていたコスプレランウェイを眺める。ちゃんとコスプレヤーさんたちを見るのは初めてでした。各々完成度高っ。個人的には『ゴジラvsコング』の芹沢蓮が優勝だったなw小栗旬に見て欲しい。進行がちょっとグダグダでしたが結構楽しめました。

・ランウェイが終了したのに逆にステージの座席に人が増え始める。おやっ?これはクロージングに向けた席取りか?留まらざるおえん。という事でフィナーレまで待機することに。その間、知らないグラドルのトークショー&知らないアイドルのライブが催されました。あっライブといえばKingGnuの東京ドーム公演から丁度1週間か…(頭の中で「Stardom」が流れ始める)。なんか申し訳ない、分からなくて。そしてグランドフィナーレ、ぎゃーーーモノホンだぁーー!ヴァーノン・ウェルズ!カレン・ギラン!ジェームス・マカヴォイ!特にアンディ・サーキスのリアル「precious」を聞けたのは一生の宝ですね。そうだ、今度SW好きの友人に会ったらリアル ヘイデン・クリステンセンを拝んだこと自慢してやろw写真がないんだけどなぁ。

まとめ

まぁこんな感じでやっぱ楽しいっすわ。来年5月の大阪コミコンもタイミングが合えば馳せ参じたいですね。

全体的には3年前の2019年より人は増えた印象。入場するのにあんな並んだ覚えないし。コロナ禍期間中にオタク、特にMCUファンが増えたのでしょうか。マーベルキャラに扮した方やマーベルの服やグッズを身に付けている方が多かった気がしました。

逆に展示/販売ブースが減った感覚がしたのは残念でした。会場スカスカじゃんか。そういえばムービープラスやFOXのCATVのブースが無かったしホットトイズのブースもありませんでした。ってかマーベルとスターウォーズは別々でブースが用意されてたはずなのに今年は一緒のブースになっててグッズ販売しかないし。原因が運営側なのか参加する企業・団体側なのか私には分かりませんがもうちょっと活性化していって欲しいと思いました。

というわけでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

第147回:映画『ある男』感想と考察

今回は現在公開中の映画『ある男』について語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

日蝕』で芥川賞を受賞した作家 平野啓一郎の同名小説の映画化。今作は第79回ベルリン国際映画祭のクロージング作品に選出されています。

離婚後に子どもを連れて宮崎の実家に帰った里枝(安藤サクラ)は、そこで出会った谷口大祐(窪田正孝)と名乗る男と再婚。幸せな家庭を築いていたが大祐は不慮の事故で亡くなってしまった。ところが疎遠となっていた大祐の兄(眞島秀和)が、遺影に写っているのは大祐ではないと話したことから、全くの別人であることが判明。弁護士の城戸(妻夫木聡)が依頼を受け、彼の正体を追う事になる。

監督は『蜜蜂と遠雷』(2019年公開)の石川慶。去年公開の『Arc アーク』が結構好きだったので、個人的には注目株。そういえば2017年の『点』って短編映画も手掛けてますね。あれも良かったな。

あらすじで触れた人物以外では、清野菜名柄本明、でんでん、真木よう子 等が出演。錚々たるのメンツ揃ってるあたり製作側の本気度が感じられる気がします。

↓『Arc アーク』についてはこちら

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自分が自分である事を証明するものとは?

なぜ「谷口大祐」という別人の名前を名乗り生活をしていたのか。男の正体と本物の谷口大祐の行方を追っていくうちに死刑制度やその死刑囚の遺族、在日朝鮮人へのヘイトなど日本社会の問題も絡み複雑化。どんどん深みにはまっていく物語は自分が一体何者なのか? というアイデンティティを問いかけきます。名前や国籍、最近だとマイナンバーカードなんかが出てきましたが、果たして自分を自分であると証明する履歴の類が本当の自分を表しているのでしょうか。あれですね、ポール・ゴーギャンの絵画のタイトル「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」が頭に過るようなテーマの作品でした。
また幾何学的な雰囲気の映像、ライティングの感じも良き。この監督の作品、総じて好きかも。台詞は控えめな視覚的映画を撮れる日本人監督って少ない気がするし。

それに人物の後ろ姿を捉えたシーンが印象的。自分を見ているようで見えないみたいな感覚。この印象付けには冒頭に登場する絵が効果的でした。あの絵、何でしたっけ?私、国立西洋美術館で見た気がするんですけど…気のせいかな。

まとめ

以上が私の見解です。

予想していた以上に満足感が得られた上質なミステリーでした。ラストシーンも好きですね。なんていうか金持ちやモテる人種の人生を羨むのと同じで、なんてことない他人の人生を望む瞬間ってふと訪れるものなんだと。

ちなみに私の推しである仲野太賀も出演してるんですけど一言も台詞なかったですね。ほぼ写真でしか登場しないし特別出演にも程がある。ただあの表情ができるからこその起用なんだろう思います。いやさすがっす。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

※追伸:

冒頭に登場する絵画、調べてみたところあれはルネ・マグリットの「複製禁止」でした。そして私が見たかもといったのは、ヴィルヘルム・ハーマンスホイの「ピアノを弾く妻イーダのいる部屋」って作品でした。今回絵画についての話多めでしたけど絵画の知識、まだまだ浅いなぁ。でもちょっと構図が似てるのよ。

第146回:映画『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』感想と考察

今回は現在公開中の映画『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』を語っていこうと思います。毎度のことながら、ややネタバレ注意です。

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イントロダクション

コミックヒーロー映画としては初めて米国アカデミー作品賞にノミネートをされ、ノミネート数7部門中3部門で受賞を果たした2018年公開『ブラックパンサー』の続編。主人公のブラックパンサーことティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンが2020年に逝去をしましたが、代役を立てずに製作がされました。

国王であったティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)を突如失ったワカンダ王国。ティ・チャラの母ラモンダ(アンジェラ・バセット)が玉座につき、悲しみを乗り越えて進もうとしていた。そんな中、ワカンダで産出される特殊な金属 ヴィブラニウムを巡って大国や謎の海底帝国の脅威が迫りくる。

監督は前作同様ライアン・クーグラー。こっちが忙しいから「クリード」シリーズには関わっていないのかな。今作の実質的主人公は、ティ・チャラの妹にあたるシュリを演じるレティ―シャ・ライト。相当な重圧があったろうと思います。もうやり切っただけで拍手といったところでしょう。その他ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク、ダナイ・グリラ 等前作キャストが集結ってあれ?ダニエル・カルーヤ居ないじゃん。どうやら今年公開の『NOPE/ノープ』とスケジュールが被ったため出演出来なかったらしいです。残念だけどまぁ『NOPE/ノープ』が超絶大傑作だったから仕方ない。そういえばルピタ・ニョンゴとウィンストン・デュークってジョーダン・ピールの『Us/アス』(2019年公開)に出てたよな。ピール軍団だな。

気持ちはわかるけど

本作、事情が事情だけにかなり異色の作品であったことは間違いないですし、良いところは勿論ありました。伝統とハイテクが融合したようなあの世界観はやっぱり良き。あの街の眺望がバーン!と現れるシーンはテンション上がりますね。テンションがあがるといえばあの人のまさかの形での登場シーンも。うっすら期待していただけあって思わず声が漏れてしまったw。今回の敵となる海底国の王 ネイモアさんの陸海空を縦横無尽に暴れる戦闘スタイルも面白かったです。

しかし総合的に見ると個人的には微妙。率直に葬式ムードが過ぎると感じました。画面の暗いシーンが多いのもありますが終始“しんみり”が漂う2時間半。ちょっと辛辣な言い方をすると、私はスリルや興奮を求めて映画を観に来ており、弔慰金を贈りに来たわけではありません。偉大な功績を残したのも理解はしているつもりですし、熱烈なファンの中にはまさに線香を手向けるような気持ちで観られる方も居るとは思いますが、流石に一つの作品としてはどうなんだろうと思います。“エンタメをやりつつ出演者への哀悼も最大限捧げる” という意味合いで言えば2015年公開の『ワイルド・スピード SKI MISSON』の方が良い塩梅だったかと思います。

またこれも致し方ないんでしょう。各出演者から良くも悪くも悲しみとプレッシャーがひしひしと感じられました。悲しみを表現するのは充分だったと思いますが、ジョークを言ってるシーンですら誰の顔にも笑みがなく表情が固い印象。これじゃ観てるこっちも固くならざるを得ません。もっと表情豊かなシュリ王女が観たかったな。

まとめ

以上が私の見解です。

これでMCUのフェイズ4が終了ですか。色々模索をした期間であることは伺えます。しかし1つ1つの作品の質が担保されていなかったような気がします。特にドラマシリーズは純粋に短期間で作り過ぎて推敲する時間がなかったのではと思います。シリーズを通しての面白さを追及するより1つの作品としての面白さを確保して欲しいんですよね、個人的には。もうそんな時代は終わったのか…となると『アイアンマン3』(2013年公開)から映画館で追ってきた私、MCUともそろそろお別れなのかもしれません。ちぇっ、悲しみ。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

第145回:東京国際映画祭に行ってみた件

今回は日比谷・有楽町を中心に開催されている第35回東京国際映画祭に行ってきましたのでそのレポートでもしようかと思います。今後公開予定の作品だったりしますので、鑑賞した作品の内容にはあまり触れないようにはしますが、ややネタバレには注意です。

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↑有楽町駅前に置かれた作品ラインナップ。映画の祝祭感があって良いですね。

10・15チケット争奪戦

私、映画祭への本格的な参戦は初。毎年気になってはいたんですが、チケット発売当日は悠長に映画を観に行っていて気付くと観たかった作品が売り切れになっているのが恒例でした。ということで今年はしっかり自宅でスタンバイ。

午前10時。一発目のセクションの販売スタート!ってあれっ?サイトにアクセス出来ないぞ…。自宅の回線が弱いのか?いや弱いにしても流石に接続出来ない時間長すぎる、ヤバいぞヤバいぞ…。ってな感じで30分が経過してしまいました。いや~こんな熾烈なんですね。販売開始から約45分後ぐらいにやっとアクセス出来ましたが、狙っていた舞台挨拶付きの上映は既に売り切れ。そりゃないぜ…と泣きながらカップラーメンを啜る昼食となりました。ちなみに狙っていたのは『ひとりぼっちじゃない』。私の好きなアーティストKingGnuのボーカル 井口理初主演映画だったので行きたかったんですけどねぇ。しょうがない、来年公開まで首を長くしておきます。

午後はPCとスマホの2段構えの臨戦態勢。再びアクセス出来ない状況を2~3時間粘り、結果狙っていた3作品の予約に成功しました。いやー疲れたわ。この1日がかりの戦場に毎年挑んでいる方々の忍耐に天晴れです。それと予約サイトにアクセス出来ないから争奪戦に負けたというのも少々腑に落ちてないので、舞台挨拶付き等は全て抽選制とかにして貰えたら良いなと感じました。

1戦目

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さぁそんなこんなで初映画祭の作品となったのが『ノースマン/導かれし復讐者』。『ウィッチ』(2015年公開)や『ライトハウス』(2019年公開)を手掛けたホラー映画界の新星 ロバート・エガース監督の最新作。北欧を舞台にした王の血を継ぐ男の復讐劇。日本では来年1月に公開予定となります。

さて、映画祭ってどんな感じか?そもそも平日の夜に外出なんて超久ぶり。ってな感じの心持ちで馳せ参じましたが、正直普通に映画館で映画を観に行くのとさほど変わらなかったというのが第一印象でした。まぁ会場が丸ノ内ピカデリーでしたし、映画鑑賞することがメインですからね。

ただし内容は大当たり。壮大で神秘的な復讐劇は破格のスケール。荒々しい戦闘シーンも圧巻。ロバート・エガースはアクションも撮れるんだ。破格のスケールは主演のアレクサンダー・スカルスガルドの筋肉も。『ゴジラvsコング』の時より明らかにパンプアップして別人の域に入ってるよ。ノシノシと歩く感じも様になってました。来年また改めて観に行きたいと思える作品でした。

それに上映後に映画ジャーナリストの宇野維正氏によるトークショーがあったのは嬉しい特典。そこであったここ最近のハリウッドを引っ張る旬の女優はアニャ・テイラー・ジョイとフローレンス・ピューとあともう一人誰だったか的な話。私はアナ・デ・アルマスに1票だったんですけどね。なるほど、ジョディ・カマ―か。

↓『ライトハウス』についてはこちら。

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2戦目

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2戦目に選んだのはノア・バームパック監督&アダム・ドライバー主演の『ホワイト・ノイズ』。化学物質の流出事故をきっかけに死を恐れる大学教授とその家族の迷走が描かれてます。同じコンビが手がけた2019年公開の『マリッジ・ストーリー』がNetflixの映画作品の中で一番好きな事もありましたが、Netflixの作品を、しかもノア・バームパック作品がよみうりホールなるこんなにデカい会場で観られる機会なんて無いのでは?と思いチョイスしました。バームパック作品ってだいたいミニシアターでしか上映してないイメージだもんな。

内容は哲学的な会話劇が展開されるバームパック流ディザスタームービーといったところ。人間にとって最もディザスターな事は?天災や事故?未知の化学物質?いやいや死ぬことそのものです。漠然とした死への不安を抑えるには誰かと会話するしかない、くだらないことでも良いから。そんな事を感じました。あとエンドクレジットがクソお洒落。ここ最近観た映画の中じゃ一番かも。

会場の方は『ノースマン』の時と比べ、海外からの方が多めな印象でした。英語や中国語がちらほら聞こえてきましたし。ちなみに私の右側横、後ろに座っていた4~5名のグループ。多分私と同じ年ぐらいでしょうか。元々芸術系の大学に通っていたか映画系のサークル仲間とかでしょうけど、映画祭に一緒に行ける友人ってなんか羨ましいですね。俺なんて一人で行くしかないんよ…(泣)

3戦目

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↑ポスターすげぇ

ここまでガラ・セレクションと呼ばれる日本での一般公開を控えた作品のプレミア上映の部門をチョイスしてきましたが、映画祭の本丸と呼ぶべきコンペティション部門に選出された作品を一本も観ていないで映画祭に来たと言えるのか?なんて考えがあったのでスペイン・フランス合作の『ザ・ビースト』を鑑賞してみることにしました。

舞台はスペインの人里離れた寂れた村。フランスから移住をしてきた夫婦は隣に住む村の中心を担う兄弟たちからの嫌がらせに悩まされていた。その嫌がらせは日に日にエスカレートをしていき、遂にはある事件が起きてしまうというサスペンス。いわゆる「村八分」ってやつです。序盤は移民に対するヘイトかと思って観ていましたが、徐々に嫌がらせの理由が明らかに。終始ドライで張り詰めた緊張感のある作品となっていました。

上映後、嫌がらせをしてくる隣人兄弟の怖い兄貴を演じたルイス・サエラ氏によるQ&Aがありました。うおぉ!これぞ映画祭じゃん!その中で原始的、取り残された土地に住む人々の正義や価値観を描くという話がありましたが、きっと日本の農村部にだって精通しますよね。技術や文明の恩恵が充分ではない場所の人々はどう生きるのか?非常に普遍的なテーマだと感じました。また役者は監督のスタンス、アプローチ方法に順応するのが責務という話も印象深かったです。

まとめ

以上、私の3日間の映画祭体験でした。

なるほど、学びましたよ。狙うべきはコンペディジョン部門ですね。来年はコンペティション部門に出典している作品を中心に動いてみたいと思いました。

ということでこの辺でお開きです。ありがとうございました。

※追伸

本映画祭のグランプリは何と『ザ・ビースト』だったようですね。しかも監督賞と主演男優賞まで獲得しているという。マジっすか、私がコンペ部門で唯一観た作品ですよ。いゃ〜俺、目利きかもしれんなw。